【感想】水母らの五里霧中をひくくひくく 野間幸恵
- 2015/12/28
- 00:02
水母らの五里霧中をひくくひくく 野間幸恵
【ひくひくするハイク】
『made in haiku』12号から野間さんの一句です。
これどうしても、「ひくひく」の〈ブレ〉として私にはみえるんですよ。
で、これは〈視える俳句〉なんではないかとおもうんですよ。眼で娯しむ俳句というか。
まず「水母ら」のという「く・ら・げ・ら」で、認識のブレのようなものがくる。くらくらするわけです。くらげら、ってなんだと。つぎのしゅんかん、くらげがあたりいちめん埋め尽くしている。
ところがそれが「五里霧中」なので状況ははっきりとわからない。状況認識が〈ブレ〉ます。もっともっとおびただしいくらげがひしめいているかもしれない。
そして最終的に視覚のブレがきます。「ひく・く」「ひく・く」というような〈ヒクヒク〉視覚や水母が疼いているようなブレです。
だとすると、実は俳句は〈ブレ〉とどう向き合うかという主題も実は抱えているのではないでしょうか。
ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ 田島健一
このくらげの句の「ぽ」はわたしにとっていまだわからない〈ブレ〉としてやってくるのだけれど、でも答えをださずに、〈ブレ〉としてそのままとらえてしまう。〈ぽ〉は俳句が抱えもっていた〈ブレ〉だったと。
しかし、なぜ、くらげが〈ブレ〉を呼び寄せるのか。わたしたちは、まだ、くらげを理解も認識もできていないのではないか。
るうれっとみずとほのおとつくりかえ 筑網耕平
原恵一『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)。ときどき絶対にブレないアニメがブレるしゅんかんってあるんですよ。たとえばこのアニメ論においてよく言及されるクレヨンしんちゃんの映画では、ヒロシが家族を捨てようとしたり、しんのすけの身体が血を噴いて傷ついたりする。どれも決まりきった関係性を捨てて、〈個〉として生き始めようとしてしているんですね。でもそんなことしたら週間ものアニメっていうのは終わってしまうんですよ。キャラクターが〈成熟〉しちゃうから。だから連続週間ものっていうのは、いかにキャラクターが成長できないかがいつも賭けられている。ところがこの映画だけ、みんなが、ブレてしまった。その結果、アニメ史に残る映画になったすごい映画です。
【ひくひくするハイク】
『made in haiku』12号から野間さんの一句です。
これどうしても、「ひくひく」の〈ブレ〉として私にはみえるんですよ。
で、これは〈視える俳句〉なんではないかとおもうんですよ。眼で娯しむ俳句というか。
まず「水母ら」のという「く・ら・げ・ら」で、認識のブレのようなものがくる。くらくらするわけです。くらげら、ってなんだと。つぎのしゅんかん、くらげがあたりいちめん埋め尽くしている。
ところがそれが「五里霧中」なので状況ははっきりとわからない。状況認識が〈ブレ〉ます。もっともっとおびただしいくらげがひしめいているかもしれない。
そして最終的に視覚のブレがきます。「ひく・く」「ひく・く」というような〈ヒクヒク〉視覚や水母が疼いているようなブレです。
だとすると、実は俳句は〈ブレ〉とどう向き合うかという主題も実は抱えているのではないでしょうか。
ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ 田島健一
このくらげの句の「ぽ」はわたしにとっていまだわからない〈ブレ〉としてやってくるのだけれど、でも答えをださずに、〈ブレ〉としてそのままとらえてしまう。〈ぽ〉は俳句が抱えもっていた〈ブレ〉だったと。
しかし、なぜ、くらげが〈ブレ〉を呼び寄せるのか。わたしたちは、まだ、くらげを理解も認識もできていないのではないか。
るうれっとみずとほのおとつくりかえ 筑網耕平
原恵一『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)。ときどき絶対にブレないアニメがブレるしゅんかんってあるんですよ。たとえばこのアニメ論においてよく言及されるクレヨンしんちゃんの映画では、ヒロシが家族を捨てようとしたり、しんのすけの身体が血を噴いて傷ついたりする。どれも決まりきった関係性を捨てて、〈個〉として生き始めようとしてしているんですね。でもそんなことしたら週間ものアニメっていうのは終わってしまうんですよ。キャラクターが〈成熟〉しちゃうから。だから連続週間ものっていうのは、いかにキャラクターが成長できないかがいつも賭けられている。ところがこの映画だけ、みんなが、ブレてしまった。その結果、アニメ史に残る映画になったすごい映画です。
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