【ふしぎな川柳 第五十五夜】消すとふえる-徳長怜-
- 2016/01/01
- 00:01
消したので余計目立ってしまいます 徳長怜
【川柳の2016年】
川柳っていつも〈危機〉に瀕しているようにわたしには思えるんですね。
でもそれは〈健康的〉な〈危機〉でもあるから、ずっと〈危機〉に瀕していてほしいと思うときもあるんです。そのぎりぎりのラインでずっと表現しているのが川柳なんじゃないかなっておもって、そこがわたしにとっても川柳の最大の魅力になっているんじゃないかとおもうんですね。
徳長さんの句にあるよに、〈消す〉っていうことは、カテゴライズすることなんですよ。りんかくをはっきりさせることなんです。だから、たとえば〈一発屋芸人〉という今芸人のひとのカテゴリーがあるけれど、それはある意味で〈一発芸〉というカテゴライズがはっきりしたからこそ〈消えやすい〉というのがあるとおもうんですよ。
ところがそこにそのカテゴリーを〈一発屋芸人的芸人〉として積極的にカテゴリーを再生成していくひとたちがいる。そのとき、〈消えそう〉になりながらもちがったかたちでもういちど浮かびあがってくる。そんなカテゴリーは誰ももっていなかったからですよね。一発屋芸人というアイデンティティ自体をネタにするっていうのは。
そういうふうに、〈消える〉というカテゴライズの運動そのものを表現に組み込むことってできるんじゃないかなっておもうんですよ。
さいきんスキップをしようとしたら異様にひざがいたくて、できなかったんですよ。で、街中できょうはできるだろうかとときどき何度かスキップしてみるんですよ。でも、やっぱり、できない。
でも、できないなかで、できないじぶんの身体をみつめながら、もういちど自分にとってスキップとはなんだったかを考える。スキップを辞書で調べたり、Google検索してみる。人前でひろうしてみたりする。
そうやって、再生成していくこと。
それが、〈川柳の思考〉なんじゃないかとわたしはおもうんですよ。
2016年の目標は、わたしにとってのスキップのやりかたを川柳的なやりかたで発見することです。
いざという時のmy穴持ち歩く 徳長怜
『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)。さいきん日本酒が好きで、で、2015年年末は類さんの酒場放浪記をずっとみてたんです(ほとんど12時間ぶっとおしのスペシャルでした)。この番組のおもしろさのひとつが、類さんが各居酒屋の料理だけでなく、その場にいる〈お客さん〉にも興味を見いだしていることにあると思うんですよ。〈お客さん〉込みでお酒をのむ空間をとらえている。類さんってかならずそこの居酒屋にいるお客さん全員と乾杯するんですが、それがそのことをよくあらわしていると思うんですよ。そんな番組をみながら2015年と2016年の境目をまたぎました。
【川柳の2016年】
川柳っていつも〈危機〉に瀕しているようにわたしには思えるんですね。
でもそれは〈健康的〉な〈危機〉でもあるから、ずっと〈危機〉に瀕していてほしいと思うときもあるんです。そのぎりぎりのラインでずっと表現しているのが川柳なんじゃないかなっておもって、そこがわたしにとっても川柳の最大の魅力になっているんじゃないかとおもうんですね。
徳長さんの句にあるよに、〈消す〉っていうことは、カテゴライズすることなんですよ。りんかくをはっきりさせることなんです。だから、たとえば〈一発屋芸人〉という今芸人のひとのカテゴリーがあるけれど、それはある意味で〈一発芸〉というカテゴライズがはっきりしたからこそ〈消えやすい〉というのがあるとおもうんですよ。
ところがそこにそのカテゴリーを〈一発屋芸人的芸人〉として積極的にカテゴリーを再生成していくひとたちがいる。そのとき、〈消えそう〉になりながらもちがったかたちでもういちど浮かびあがってくる。そんなカテゴリーは誰ももっていなかったからですよね。一発屋芸人というアイデンティティ自体をネタにするっていうのは。
そういうふうに、〈消える〉というカテゴライズの運動そのものを表現に組み込むことってできるんじゃないかなっておもうんですよ。
さいきんスキップをしようとしたら異様にひざがいたくて、できなかったんですよ。で、街中できょうはできるだろうかとときどき何度かスキップしてみるんですよ。でも、やっぱり、できない。
でも、できないなかで、できないじぶんの身体をみつめながら、もういちど自分にとってスキップとはなんだったかを考える。スキップを辞書で調べたり、Google検索してみる。人前でひろうしてみたりする。
そうやって、再生成していくこと。
それが、〈川柳の思考〉なんじゃないかとわたしはおもうんですよ。
2016年の目標は、わたしにとってのスキップのやりかたを川柳的なやりかたで発見することです。
いざという時のmy穴持ち歩く 徳長怜
『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)。さいきん日本酒が好きで、で、2015年年末は類さんの酒場放浪記をずっとみてたんです(ほとんど12時間ぶっとおしのスペシャルでした)。この番組のおもしろさのひとつが、類さんが各居酒屋の料理だけでなく、その場にいる〈お客さん〉にも興味を見いだしていることにあると思うんですよ。〈お客さん〉込みでお酒をのむ空間をとらえている。類さんってかならずそこの居酒屋にいるお客さん全員と乾杯するんですが、それがそのことをよくあらわしていると思うんですよ。そんな番組をみながら2015年と2016年の境目をまたぎました。
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