【短歌】「靴下は…(毎日新聞・毎日歌壇2016年1月25日・米川千嘉子 特選)
- 2016/01/25
- 07:41
独りですいつからですかもうずっと独りと気づくずっと前から 副島和昌
【それは数としてやってきた】
今週の毎日歌壇・加藤治郎さん選の特選歌です。
短歌がもたらす〈気づき〉ってあるんじゃないかと思っていて、たとえばこの副島さんの歌でいえば、さいしょの「独りです」という5音を発話しはじめたときになんとなく語り手は〈気づき〉はじめてしまっていたんではないかとおもうんです。ああじぶんは「独りです」なんだと。
で、この歌のさいごは「独りと気づくずっと前から」で終わっているけれど、この〈気づき〉という自分にわかるかたちで、気づくかたちで言説化できるよりももっと前にある〈気づかなかった独り〉。これが短歌がふっと発話してしまった、気づかせてしまった「独りです」なんじゃないかとおもうんですよ。
短歌において発話は〈意味〉ではなく〈数〉によってやってくるから、「独りです」が意識の意味ではなく、無意識のなかから数としてやってきてしまう。
だから自分が気づいていないことさえ、発話してしまう。そしてその発話によってじぶんが気づいてしまう。
それがこの副島さんの歌なのかなあっておもうんです。
短歌はそういう〈数〉からの〈気づき〉のメディアなんじゃないかと。
「靴下はまるめてのびてなくなってみつからなくて」「思い出だそれは」 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2016年1月25日・米川千嘉子 特選)
【それは数としてやってきた】
今週の毎日歌壇・加藤治郎さん選の特選歌です。
短歌がもたらす〈気づき〉ってあるんじゃないかと思っていて、たとえばこの副島さんの歌でいえば、さいしょの「独りです」という5音を発話しはじめたときになんとなく語り手は〈気づき〉はじめてしまっていたんではないかとおもうんです。ああじぶんは「独りです」なんだと。
で、この歌のさいごは「独りと気づくずっと前から」で終わっているけれど、この〈気づき〉という自分にわかるかたちで、気づくかたちで言説化できるよりももっと前にある〈気づかなかった独り〉。これが短歌がふっと発話してしまった、気づかせてしまった「独りです」なんじゃないかとおもうんですよ。
短歌において発話は〈意味〉ではなく〈数〉によってやってくるから、「独りです」が意識の意味ではなく、無意識のなかから数としてやってきてしまう。
だから自分が気づいていないことさえ、発話してしまう。そしてその発話によってじぶんが気づいてしまう。
それがこの副島さんの歌なのかなあっておもうんです。
短歌はそういう〈数〉からの〈気づき〉のメディアなんじゃないかと。
「靴下はまるめてのびてなくなってみつからなくて」「思い出だそれは」 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2016年1月25日・米川千嘉子 特選)
- 関連記事
スポンサーサイト
- テーマ:短歌
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:々々の短歌