【お知らせ】俳文「ぽ譚」『週刊俳句 第459号』
- 2016/02/12
- 02:25
『週刊俳句 第459号』にて「ぽ譚」という文章を載せていただきました。『週刊俳句』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!
お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。
柄谷行人さんが、夏目漱石は〈小説〉を書いたんじゃい、〈文〉を書いたんだ、とおっしゃっていましたが、これってどういうことなのかというと、漱石はジャンルに回収されないものを書き続けたっていうことだと思うんですね。だから「小説」というジャンルには入ってゆかない。それは〈文〉としか言いようがない。
で、とくにその〈文〉的ななにかが『吾輩は猫である』のように思うんです。あれって猫がうろうろする話なんだけれども、考えてみると、〈うろうろ〉が軸にあるわけなので、猫を殺さなれければ、えいえんに続くんですよ。そのときに、〈文〉とは、構造化できないためにえいえんにつづく猫的ななにかなんじゃないかと思うんですね。だから漱石は猫をびんのなかで溺死させなければならなかった。口=文=語りをふさぐためにです。
ということはあの小説は『吾輩は文である』ともいうべきものなんです。
で、実は、〈俳文〉というものもそういうものではないかと思うのです。どこにもゆかないもの、どこにもゆきつかない徘徊する文。それが、〈俳文〉なんじゃないかと。うろうろしつづけるもの。
そしてそのどのジャンルにも回収しようものがないものを一音でいうと、〈ぽ〉になるんじゃないかと。
ということは、〈ぽ〉とは猫がずっと抱きかかえながらも、ついに最後まで発話することができなかった一音なんじゃないかとおもうのです。
おもうだけだけれど。
ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ 田島健一
お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。
柄谷行人さんが、夏目漱石は〈小説〉を書いたんじゃい、〈文〉を書いたんだ、とおっしゃっていましたが、これってどういうことなのかというと、漱石はジャンルに回収されないものを書き続けたっていうことだと思うんですね。だから「小説」というジャンルには入ってゆかない。それは〈文〉としか言いようがない。
で、とくにその〈文〉的ななにかが『吾輩は猫である』のように思うんです。あれって猫がうろうろする話なんだけれども、考えてみると、〈うろうろ〉が軸にあるわけなので、猫を殺さなれければ、えいえんに続くんですよ。そのときに、〈文〉とは、構造化できないためにえいえんにつづく猫的ななにかなんじゃないかと思うんですね。だから漱石は猫をびんのなかで溺死させなければならなかった。口=文=語りをふさぐためにです。
ということはあの小説は『吾輩は文である』ともいうべきものなんです。
で、実は、〈俳文〉というものもそういうものではないかと思うのです。どこにもゆかないもの、どこにもゆきつかない徘徊する文。それが、〈俳文〉なんじゃないかと。うろうろしつづけるもの。
そしてそのどのジャンルにも回収しようものがないものを一音でいうと、〈ぽ〉になるんじゃないかと。
ということは、〈ぽ〉とは猫がずっと抱きかかえながらも、ついに最後まで発話することができなかった一音なんじゃないかとおもうのです。
おもうだけだけれど。
ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ 田島健一
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