【短歌】信号の…(「第96回 短歌ください(お題:占い)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2016年4月号)
- 2016/03/05
- 18:49
手から手へ教室内を渡りゆく手紙を遺書として消費する 山田航
【短歌のトワイライトゾーン】
短歌って密室殺人事件みたいだなと思っていたことがあって、なんていうんでしょうか、定型という密室のなかでずうっとつづくんですよ、生と死が。
生と死が回遊しつづけているというかそれはだれにもとめられない。読み手はただたちあうことしかできない
でも、語り手も、そう。語り手もいちど定型のなかに短歌をパッケージングして手放したらもう手をくわえられない。
あとは、密室のなかでボディが探偵(解釈者)が来るのを待つだけです。えいえんに。
だからちょっとこの山田さんの歌の「手紙」って〈短歌〉にも近いなとおもったんですよ。解釈によってどんどん消費されていく。それはあるときは「遺書」のような作者の決定的メッセージ性として「消費」されるかもしれない。でも、〈消費し尽くす〉ことはできない。
ほんとうは密室のなかで《どう》死んだかはだれにもわからず、あくまで解釈の範囲を出ないように、短歌も《消尽》することはできない。それは「手から手へ」渡りつづけてゆく。
そしてあるとき、だれかが、ふっと《異変》にきづく。そのとき、また、新しい解釈とともに、新しい密室ができあがる。
信号のすべてが青で帰る日が五日続いて異変に気づく 柳本々々
(「第96回 短歌ください(お題:占い)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2016年4月号)
【短歌のトワイライトゾーン】
短歌って密室殺人事件みたいだなと思っていたことがあって、なんていうんでしょうか、定型という密室のなかでずうっとつづくんですよ、生と死が。
生と死が回遊しつづけているというかそれはだれにもとめられない。読み手はただたちあうことしかできない
でも、語り手も、そう。語り手もいちど定型のなかに短歌をパッケージングして手放したらもう手をくわえられない。
あとは、密室のなかでボディが探偵(解釈者)が来るのを待つだけです。えいえんに。
だからちょっとこの山田さんの歌の「手紙」って〈短歌〉にも近いなとおもったんですよ。解釈によってどんどん消費されていく。それはあるときは「遺書」のような作者の決定的メッセージ性として「消費」されるかもしれない。でも、〈消費し尽くす〉ことはできない。
ほんとうは密室のなかで《どう》死んだかはだれにもわからず、あくまで解釈の範囲を出ないように、短歌も《消尽》することはできない。それは「手から手へ」渡りつづけてゆく。
そしてあるとき、だれかが、ふっと《異変》にきづく。そのとき、また、新しい解釈とともに、新しい密室ができあがる。
信号のすべてが青で帰る日が五日続いて異変に気づく 柳本々々
(「第96回 短歌ください(お題:占い)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2016年4月号)
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