【川柳連作と散文】「2020年のコンビニ忌」『川柳の仲間 旬』204号・2016年3月号
- 2016/03/06
- 08:53
の広がる夜になったらコンビニ忌
あのひとは違うファミマにコンビニ忌
抱き合えばびるだとわかるコンビニ忌
産卵は高層ビルのコンビニ忌
コンビニ忌ファミマで渡す光線銃
コンビニ忌太陽の塔に覗かれる
蝶がいて(コンビニ忌だし)荘子かも
コンビニ忌羽は鍛えるための塔
青空の計ってみればコンビニ忌
コンビニ忌割り箸だけの闇の音
柳本々々「2020年のコンビニ忌」『川柳の仲間 旬』204号・2016年3月号
「むかしむかしこの世界にはコンビニがなかった」と岡田利規の「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」には書いてある。たとえば私たちにはもはや共有できる古墳や塔や壁画や神殿はないが、コンビニがある。なにか重要な思想はいつも朝方のコンビニで生まれてきたし、誰かが真夜中に愛をうちあけるのもコンビニだった。私の柳本々々という名前もコンビニからもらっている。セブン-イレブンのもじりだ。私がいつも歌や句をつくる場所はコンビニだった。コンビニで取り押さえられたこともある。コンビニではメッセージ性のあるものをつくらないでください、と。コンビニで集会をしようとして連行されたこともあった。屈強な店員に肩を両脇からがっしりとつかまれながら、私にはそのとき初めてあのファミマの入店音が〈音楽〉に聴こえたのだった。
*
【課題句「翼」】
改札機翼をとおしふっと浮く 柳本々々
会議中、翼を出している課長 〃
この笛で羽ばたく音を出しなさい 〃
*
千春さん、川合大祐さんから句評をいただきました。ありがとうございました!
あっあれだ母になる人見いつけた 千春
東京の人はまさしく肉である 川合大祐
言いわけの最後に月を担ぎだす 宮本夢実
- 関連記事
-
-
【川柳連作と散文】「2020年のベイダー忌」『川柳の仲間 旬』203号・2016年1月号 2015/12/31
-
【川柳連作】「横になる」『おかじょうき』2017年5月号 2017/10/20
-
【川柳連作】やわらかい鍵盤『おかじょうき』2014年5月号・掲載作 2015/06/01
-
【川柳・連作】ぬるい虹 2014/08/14
-
【川柳・連作】「ふたがあります。とりますか?」『おかじょうき』2015年7月号掲載作 2015/07/22
-
スポンサーサイト
- テーマ:短歌
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:々々の川柳連作