あとがきが風邪を引いている!?
- 2016/03/15
- 21:38
去年の今頃もひどい風邪をひいていたんですが、風邪をひくのは悪いことばかりでもないとおもうんですよ。
去年の今頃に高熱でふらふらしながらずっと法橋ひらくさんの歌集『それはとても速くて永い』を持ち歩いて読んでいたんですね。
で、風邪を引きながらの読書には歌集がとてもよいんです。いつでも読み終えることができるし、いつでも読書をやりなおすことができる。登場人物や筋立てを覚えるひつようもない。
でも、それ以上によいなと思ったのが、実は風邪をひいているときの時間と歌集の時間っていうのはちょっと似ているんじゃないかとおもったんですよ。
とくにこの法橋さんの歌集はタイトルが示すとおり、〈時間〉の永さと速さがテーマになっているんですが、わたしはこの法橋さんの歌集タイトルは、ひとつの短歌の時間をめぐる短歌=時間論にもなっているんじゃないかとおもう。
31音は、とても永いんです。それはずっと一首のなかでぐるぐる循環している。解釈の地平は終わらないわけです。終わってもまたはじめにもどり、解釈が更新され、解釈学的循環を重ねていく。それが短歌です。
でも、それでも、31音なのが短歌です。終わりがすぐにやってくる。速い、んですよ。
わたしは、だから、この法橋さんのタイトルの「それ」は(これはわたしにとってはだけれど)、《短歌》なんじゃないかとおもうんですよ。
短歌はとても速くて永い。
でね、風邪をひくと時間の感覚が変わるんですよ。なにかゆったりとしていながらも逼迫したものになる。ふしぎな時間感覚になるんです。それが短詩をめぐる時間感覚にちょっと似ているんじゃないかとおもう。
わたしはそのとき法橋さんの歌集を読みながら、なぜか幸福を感じたんですよ。時間のふしぎな調和というか、風邪の時間と短歌の時間が調和しあったふしぎな幸福感を。
でも、そう気がつくときは、いつも風邪は治りかけなんですよ。
そうなんです。
風邪はとても永くて速い。
思い出すたびに薄れてゆくひとを冬、襟立ててかばいながら 法橋ひらく
去年の今頃に高熱でふらふらしながらずっと法橋ひらくさんの歌集『それはとても速くて永い』を持ち歩いて読んでいたんですね。
で、風邪を引きながらの読書には歌集がとてもよいんです。いつでも読み終えることができるし、いつでも読書をやりなおすことができる。登場人物や筋立てを覚えるひつようもない。
でも、それ以上によいなと思ったのが、実は風邪をひいているときの時間と歌集の時間っていうのはちょっと似ているんじゃないかとおもったんですよ。
とくにこの法橋さんの歌集はタイトルが示すとおり、〈時間〉の永さと速さがテーマになっているんですが、わたしはこの法橋さんの歌集タイトルは、ひとつの短歌の時間をめぐる短歌=時間論にもなっているんじゃないかとおもう。
31音は、とても永いんです。それはずっと一首のなかでぐるぐる循環している。解釈の地平は終わらないわけです。終わってもまたはじめにもどり、解釈が更新され、解釈学的循環を重ねていく。それが短歌です。
でも、それでも、31音なのが短歌です。終わりがすぐにやってくる。速い、んですよ。
わたしは、だから、この法橋さんのタイトルの「それ」は(これはわたしにとってはだけれど)、《短歌》なんじゃないかとおもうんですよ。
短歌はとても速くて永い。
でね、風邪をひくと時間の感覚が変わるんですよ。なにかゆったりとしていながらも逼迫したものになる。ふしぎな時間感覚になるんです。それが短詩をめぐる時間感覚にちょっと似ているんじゃないかとおもう。
わたしはそのとき法橋さんの歌集を読みながら、なぜか幸福を感じたんですよ。時間のふしぎな調和というか、風邪の時間と短歌の時間が調和しあったふしぎな幸福感を。
でも、そう気がつくときは、いつも風邪は治りかけなんですよ。
そうなんです。
風邪はとても永くて速い。
思い出すたびに薄れてゆくひとを冬、襟立ててかばいながら 法橋ひらく
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