【ふしぎな川柳 第八十七夜】ゆっくりねむっていってね-弘津秋の子-
- 2016/04/02
- 00:14
春の小川講演会でよく眠る 弘津秋の子
【眠ることは、非接続的接続】
わたし、ねむる句っていうのが好きなんですね。なんていうんでしょう、わざわざ〈川柳〉という形式のなかに踏み出していったのに、その〈川柳〉という形式のなかで眠ってしまう。どうゆうことだ、っておもうんですね。
でも、基本的に文学は、眠るひとのものでもあるような気がするんですよ。前回の佐藤幸子さんの句もそうだったんですが、文学って基本的には言語の非接続にあるように思うんですね。ふだん接続しようもない言葉と言葉が結びつくことによって新しい風景がうまれる。これってでも、わたしたちは、毎日〈強制的に〉やっていることなんですよ。つまり、夢です。
夢だと、いろんな接続しそうもないものが、接続していきますよね。だいたい、夢って、つまらないなあと思っては、みてないわけです。それは既知の接続性じゃないからですよね。でもだからこそ、ひとにはなかなか伝わらないわけです。未知なので。
秋の子さんの句のおもしろいのは、「講演会でよく眠る」と限定的に嗜眠しているところだと思うんですね。部屋じゃなくて、講演会でよく眠るということは、講演会ですから、みんなに伝えるためにスピーカーは非常に強力な、論理的な、接続的な話をしている。そのまっただなかで語り手は〈非接続〉として爆睡している。よく眠っている。そのとき語り手は「講演会」に接続せずに、「春の小川」に接続しているわけです。〈眠り〉というメディアをとおして。
眠るってそういう〈ここ〉を越えて〈そこ〉と接続してしまうことなんですよね。
たとえばクラシックのコンサートで大ホールにいくと、暗殺されたひとみたいにあちこちに寝落ちしてしまっているひとがいるんですが、それがすてきなわけです。
そう、おもうんだ……(←ねむっている)
見えるもの見えて楽しい最後尾 弘津秋の子
アルトマン『ロング・グッドバイ』(1973)。アルトマンって好きなんですが、アルトマンのおもしろさって脱線した先をていねいに描くことなんですよ。よそ見したその風景を詳細に描く、というか。たとえばこの映画では探偵の隣の部屋に宗教団体のひとたちが住んでいていつも踊っているんだけれど、本筋とはぜんぜん関係ない。でも、妙に、こころに残るんですよ。なんだろうこのひとたちはと。で、アルトマンってそういう脱線したさきのひとたちをすごくていねいに描くんですね。それがすごくすてきで。この映画の猫がすてきなのもたぶんそういう理由があるんだと思う。非接続先をていねいに描く。
【眠ることは、非接続的接続】
わたし、ねむる句っていうのが好きなんですね。なんていうんでしょう、わざわざ〈川柳〉という形式のなかに踏み出していったのに、その〈川柳〉という形式のなかで眠ってしまう。どうゆうことだ、っておもうんですね。
でも、基本的に文学は、眠るひとのものでもあるような気がするんですよ。前回の佐藤幸子さんの句もそうだったんですが、文学って基本的には言語の非接続にあるように思うんですね。ふだん接続しようもない言葉と言葉が結びつくことによって新しい風景がうまれる。これってでも、わたしたちは、毎日〈強制的に〉やっていることなんですよ。つまり、夢です。
夢だと、いろんな接続しそうもないものが、接続していきますよね。だいたい、夢って、つまらないなあと思っては、みてないわけです。それは既知の接続性じゃないからですよね。でもだからこそ、ひとにはなかなか伝わらないわけです。未知なので。
秋の子さんの句のおもしろいのは、「講演会でよく眠る」と限定的に嗜眠しているところだと思うんですね。部屋じゃなくて、講演会でよく眠るということは、講演会ですから、みんなに伝えるためにスピーカーは非常に強力な、論理的な、接続的な話をしている。そのまっただなかで語り手は〈非接続〉として爆睡している。よく眠っている。そのとき語り手は「講演会」に接続せずに、「春の小川」に接続しているわけです。〈眠り〉というメディアをとおして。
眠るってそういう〈ここ〉を越えて〈そこ〉と接続してしまうことなんですよね。
たとえばクラシックのコンサートで大ホールにいくと、暗殺されたひとみたいにあちこちに寝落ちしてしまっているひとがいるんですが、それがすてきなわけです。
そう、おもうんだ……(←ねむっている)
見えるもの見えて楽しい最後尾 弘津秋の子
アルトマン『ロング・グッドバイ』(1973)。アルトマンって好きなんですが、アルトマンのおもしろさって脱線した先をていねいに描くことなんですよ。よそ見したその風景を詳細に描く、というか。たとえばこの映画では探偵の隣の部屋に宗教団体のひとたちが住んでいていつも踊っているんだけれど、本筋とはぜんぜん関係ない。でも、妙に、こころに残るんですよ。なんだろうこのひとたちはと。で、アルトマンってそういう脱線したさきのひとたちをすごくていねいに描くんですね。それがすごくすてきで。この映画の猫がすてきなのもたぶんそういう理由があるんだと思う。非接続先をていねいに描く。
- 関連記事
スポンサーサイト
- テーマ:読書感想文
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:ふしぎな川柳-川柳百物語拾遺-