【あとがき】荻原裕幸『あるまじろん』のあとがき
- 2014/07/20
- 06:48
けれども、もつとも素敵なのは、ここに収めた二百六十のフラグメントのどれかが、各章に付した二百字弱のメモや、歌集を全体から見たときの自分の役割などはころつと忘れて、読者がそれぞれに繁らせてゐる青葉の中に紛れこみ、あたかも最初からそこにあつたかのごとく風に吹かれてゐることである。作者の都合なんて構はない。作品が、宿命よりも強い偶然によつて、ふさはしい居場所を見つけ、そこで生きはじめるとすれば、こんな素敵なことは他にないのだから。
荻原裕幸「あとがき」『あるまじろん』
荻原裕幸「あとがき」『あるまじろん』
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