【感想】この手紙よんでるあなたの顔がみえる、横がおと、正面と、みえる 穂村弘
- 2016/05/12
- 00:31
この手紙よんでるあなたの顔がみえる、横がおと、正面と、みえる 穂村弘
【顔面ハイパーリアル】
この穂村さんの歌の定型が〈ぼこぼこ〉な感じがちょっとおもしろいなと思ってですね。
で、その〈ぼこぼこ〉な感じ、定型がすっと行かず、凹凸のある〈立体感〉がそのまま「あなたの顔」の立体感にリンクしていくのがおもしろいなって思ったんですよ。たぶんでもそういうぼこぼこした歌なんじゃないかとおもうんですね。
この歌ってそもそもが〈立体感〉の歌で、〈横がおと、正面と、みえる〉っていうときに、それはハイパーリアリズムというか、写実的な顔ではなくて、内面で構成された、この語り手の内面だけが〈立体〉をもてる顔だとおもうんですよ、横がおと正面が同時に〈みえる〉のであれば。
で、そのハイパーリアルなあなたの顔の凹凸を定型が演出しているようにおもうんです。
で、たとえばこんなふうな定型でわけてみると、
この手紙/よんでるあなた/の顔がみ/える、横がおと、/正面と、みえる
「える」っていう言葉がはじき出されて、これがおもしろいなっておもったんですね。「みえる」っていうことが定型をとおして「える/得る」ことにつながっている。「みえる」と語りきってしまうことによって語り手はいま相手の「横がおと、正面」を手にいれている、〈得〉ているんだとおもうんですよね。
そういうハイパーリアルな顔面を歌った歌なのではないかとおもったんですよ。定型が唯物的でハイパーリアルな感覚を語り手に運んでくる。
ごらん 指 先 歯型 を つけ てるよ 清水かおり
NHK『こころの時代』。インタビュアーというか聞き手としての金光寿郎さんにずっと注目しているんですが、たぶんいちばん相手の話をひきだす態度っていうのは〈淡々とした態度〉なんじゃないかとおもうんですよ。それはなんでかっていうと、語り手への信頼に通じている。そうすると、語り手は実は奥のほうに自分でも気づかなかった語りの宝庫をもっていて、それをあけはじめる。それが金光さんの対談スタイルなのかなあって思うんですよ。そしてそれでもドラマが生まれるんですね。それは〈場〉によって。その〈場〉の空気がみずから生み出さなくてもドラマになっていく。それって穂村さんの歌の〈定型〉がドラマになることとちょっと似ているなと思ったんです。
【顔面ハイパーリアル】
この穂村さんの歌の定型が〈ぼこぼこ〉な感じがちょっとおもしろいなと思ってですね。
で、その〈ぼこぼこ〉な感じ、定型がすっと行かず、凹凸のある〈立体感〉がそのまま「あなたの顔」の立体感にリンクしていくのがおもしろいなって思ったんですよ。たぶんでもそういうぼこぼこした歌なんじゃないかとおもうんですね。
この歌ってそもそもが〈立体感〉の歌で、〈横がおと、正面と、みえる〉っていうときに、それはハイパーリアリズムというか、写実的な顔ではなくて、内面で構成された、この語り手の内面だけが〈立体〉をもてる顔だとおもうんですよ、横がおと正面が同時に〈みえる〉のであれば。
で、そのハイパーリアルなあなたの顔の凹凸を定型が演出しているようにおもうんです。
で、たとえばこんなふうな定型でわけてみると、
この手紙/よんでるあなた/の顔がみ/える、横がおと、/正面と、みえる
「える」っていう言葉がはじき出されて、これがおもしろいなっておもったんですね。「みえる」っていうことが定型をとおして「える/得る」ことにつながっている。「みえる」と語りきってしまうことによって語り手はいま相手の「横がおと、正面」を手にいれている、〈得〉ているんだとおもうんですよね。
そういうハイパーリアルな顔面を歌った歌なのではないかとおもったんですよ。定型が唯物的でハイパーリアルな感覚を語り手に運んでくる。
ごらん 指 先 歯型 を つけ てるよ 清水かおり
NHK『こころの時代』。インタビュアーというか聞き手としての金光寿郎さんにずっと注目しているんですが、たぶんいちばん相手の話をひきだす態度っていうのは〈淡々とした態度〉なんじゃないかとおもうんですよ。それはなんでかっていうと、語り手への信頼に通じている。そうすると、語り手は実は奥のほうに自分でも気づかなかった語りの宝庫をもっていて、それをあけはじめる。それが金光さんの対談スタイルなのかなあって思うんですよ。そしてそれでもドラマが生まれるんですね。それは〈場〉によって。その〈場〉の空気がみずから生み出さなくてもドラマになっていく。それって穂村さんの歌の〈定型〉がドラマになることとちょっと似ているなと思ったんです。
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