【短歌連作】「本のお供え」『かばん』2016年4月号掲載作
- 2016/05/17
- 09:11
【詞書】こうやってわけもわからずに百年歩いている 吉田知子
図書館でさがす享楽的なもの わけもわからず生き急ぐ日に
図書館の奥にふとんが敷いてあり司書にいおうかどうするか迷う
もし俺がしんだらひまで図書館にいくんだろうな みんなもそうか
図書館てかんがえてみればただじっとするためだけにむらがる場所だ
真夜中の図書館にいるこの俺はしんでいるんだやっとわかった
図書館は全集読めずに亡くなった亡霊たちでいっぱいである
図書館にバナナボートが置いてあり司書にいおうかどうするか迷う
「冷やし読書はじめました」という図書館の看板 夏のはじまり
柳本々々「本のお供え」『かばん』2016年4月号
*
【添え書き】
図書館っていつもふしぎなんですが、読書してるひとから本をはずしてみれば、みんながただじっとするためにあつまってくる空間だとおもうんですよ。だから読書という文化を知らない異星人が図書館をみたらこうおもうんじゃないか。なんなんだここ。みんなじっとして。
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河野瑤さんから歌評をいただきました。ありがとうございました!
長い筆談にポケットは作り話で満たされドトールの冬
河野瑤
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