【詩】身体ってすごくおおごとなきがするよ(「新人作品・入選・廿楽順治 選」『現代詩手帖』2016年6月号・掲載)
- 2016/05/28
- 12:38
あなたが横にねむっているのがわかったときわたしは天井をみあげていたのだがふいに 身体っておおごとなきがするよ とくちからこぼれたのだった
むっくりとおきあがったあなたが水をのみにいくのがわかった くうかんががさがさと音をたてるのがわかってあなたよりもわたしはくうかんとずっと一緒にくらしてきたのだとわかった
実はねあの手紙をみたのとあなたがいう あなたのおおぶりなてやあしをみているうちにただそれがあることだけが歴史的なんだとわたしにはおもわれる
わたしたちはもうにどとだきあわずふとんのいちばんふかいばしょにはいっていく
身体はおおごとだからわたしたちはいつまでたっても、もう、出会えない
柳本々々「身体ってすごくおおごとなきがするよ」 (「新人作品・入選・廿楽順治 選」『現代詩手帖』2016年6月号・掲載)
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選者の廿楽順治さんから次の選評をいただきました。ありがとうございました。
他に隊列を組んで空を飛ぶおふとんの詩があってそれも面白かった。身体を「おおごと」と捉える視点に詩の殺意を感じる。ただ、男女のありがちな甘い話に落ち着いてしまいそうな不安はある。 廿楽順治「多くのものを殺さなければならない」『現代詩手帖』2016年6月
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