【感想】友達と大笑いした後とかに あなたのことを思い出します 柳澤真実
- 2016/05/29
- 13:16
友達と大笑いした後とかに あなたのことを思い出します 柳澤真実
【あなたはいつも暴力的だ】
この「とかに」っておもしろい言葉遣いだと思いませんか。少しぎくしゃくしてるというか、むりやりとつぜんやってきた《つなぎ》というか。
で、それがこの歌のひとつのポイントになっているんじゃないかとおもううんです。
この「友達と大笑いした後」と「あなたのこと」ってかんたんにはつなげないような途方もない距離感があるとおもうんですよ。実はぜんぜんつなげることができないような。「友達と大笑いし」てるのでそこはほんとは「あなた」はいないはずなんです。
でも、それでも、「とかに」という暴力的なつなぎ方で、暴力的にわたしの眼の前にあらわれてくるのが「あなた」なんだとおもうんですよ。
大笑いしてもぜんぜん抑圧できない。わたしがことばを流ちょうにつかうことも禁じてくる。「とかに」というぎくしゃくした言葉遣いで、あなたが現前してくる。
それでも語り手がどこかで「あなた」を忘れつつあるというのもこの歌のおもしろさだとおもうんです。結句が「思い出します」ってすごくなめらかになるんですよね。つまり語り手は最終的にはなめらかに、言葉がととのえる方向にむいているんです。
だからきっと「あなた」のことをいつかはわすれるんだとも、おもう。
でも、いまは、まだ、「とかに」であなたはやってくる。思い出の暴君として。
遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった 柳澤真実
是枝裕和『海街diary』(2015)。是枝映画のなかで《暴力的にやってくる記憶》というか《回帰する過去》ってけっこう大事なんじゃないかとおもうんですね。『歩いても 歩いても』とかもそうなんだけれど。で、そういうのに対してどうすることもできないとおもうんですよ。できないんだけれど、是枝映画でよくみられるのが、《なんとなくみんなでどこまでも歩く》という身体モチーフだとおもうんです。解消はできないんだけれど、おなじ方向をむいて、ばらばらに、なんとなく、歩く。そのなかで、生をととのえていくプロセスを、すこしずつ、みつけていく。
【あなたはいつも暴力的だ】
この「とかに」っておもしろい言葉遣いだと思いませんか。少しぎくしゃくしてるというか、むりやりとつぜんやってきた《つなぎ》というか。
で、それがこの歌のひとつのポイントになっているんじゃないかとおもううんです。
この「友達と大笑いした後」と「あなたのこと」ってかんたんにはつなげないような途方もない距離感があるとおもうんですよ。実はぜんぜんつなげることができないような。「友達と大笑いし」てるのでそこはほんとは「あなた」はいないはずなんです。
でも、それでも、「とかに」という暴力的なつなぎ方で、暴力的にわたしの眼の前にあらわれてくるのが「あなた」なんだとおもうんですよ。
大笑いしてもぜんぜん抑圧できない。わたしがことばを流ちょうにつかうことも禁じてくる。「とかに」というぎくしゃくした言葉遣いで、あなたが現前してくる。
それでも語り手がどこかで「あなた」を忘れつつあるというのもこの歌のおもしろさだとおもうんです。結句が「思い出します」ってすごくなめらかになるんですよね。つまり語り手は最終的にはなめらかに、言葉がととのえる方向にむいているんです。
だからきっと「あなた」のことをいつかはわすれるんだとも、おもう。
でも、いまは、まだ、「とかに」であなたはやってくる。思い出の暴君として。
遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった 柳澤真実
是枝裕和『海街diary』(2015)。是枝映画のなかで《暴力的にやってくる記憶》というか《回帰する過去》ってけっこう大事なんじゃないかとおもうんですね。『歩いても 歩いても』とかもそうなんだけれど。で、そういうのに対してどうすることもできないとおもうんですよ。できないんだけれど、是枝映画でよくみられるのが、《なんとなくみんなでどこまでも歩く》という身体モチーフだとおもうんです。解消はできないんだけれど、おなじ方向をむいて、ばらばらに、なんとなく、歩く。そのなかで、生をととのえていくプロセスを、すこしずつ、みつけていく。
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