【川柳連作と散文】「自転車忌」『川柳の仲間 旬』205号・2016年5月号
- 2016/05/31
- 23:41
髪の毛が地球の大半を占める
それからは「はい」や「いいえ」が迷わない
東京タワーに絡まる「ワアアアッ!」
折り紙でとうきょうとっきょきょかきょくを折る
エイプリルフールレントゲンの隙間
おおかたはトマトで出来ているカボチャ
自転車は後から余計だと気づく
自転車忌あした粘土でつくる船
「暗いね。食べられたんだろうね。ね」「うん」
ウェザーニュース都合のつかない先祖霊
柳本々々「自転車忌」『川柳の仲間 旬』205号・2016年5月号
ときどき自転車に乗りながらゆーあーまいさんしゃいんを歌っていることがある。なにもかもを失ってしまったひとをめぐるすごくいい歌なので街中のひとびとを誘いかけるようにしてなんども歌う。たとえばどんなふうに歌うのかというと、ゆーあーまいさんしゃあいんーゆーあーまいさんしゃいんゆーあーまいさんしゃいんららららゆーあー、という感じで歌う。ゆーあーまいさんしゃいんの部分しか知らないわけではないのだが、たいてい、ゆーあーまいさんしゃいんだけを繰り返して歌が終わる。なんで、だろう。
*
【課題句会「次女」】
喰われても喰われても喰われても次女 柳本々々
最初から煉瓦の家をつくる次女 〃
判別ができないくらい次女の群れ 〃
*
丑三つ時に草木を叩き起こす 千春
一本の眉毛が生えるふくらはぎ 川合大祐
鉄格子さえも景色にする桜 竹内美千代
捕まったら逃げる捕まえたら逃がす 小池孝一
空きれい乳房に棲んでいる魔物 桑沢ひろみ
薄曇りポテトサラダに癒やされる 樹萄らき
相乗りをお願いされる観覧車 大川博幸
一本の線をずうっと引いている 池上とき子
蜘蛛の巣の裏を見てから経を読む 丸山健三
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