【短歌】「あの日から…(東京新聞・東京歌壇2016年7月10日・東直子 選)
- 2016/07/10
- 22:04
春のプール夏のプール秋のプール冬のプールに星が降るなり 穂村弘
【プールのふしぎ】
プールって不思議な空間だなあと思っていて、かなり局所的な空間なんですよね。
ここからここまでの範囲を行ったり来たりしろという空間。
あんまりそういう空間ってないんじゃないかと思うんですね。しかもほとんど全員が裸に近い状態でいったりきたりする空間。
一時期ずっとプールに通っていたんですが、ときどきなんだろうこの空間、と思っていたんですね。こういう場初ってなかなかないぞと。
で、あまりに通いすぎて、ここで働いてみませんかと言われて、それは断ったんだけれども、ともかく局所的な場所をほとんど裸に近いひとたちが無目的に行ったり来たりを浮遊や飛翔に近い姿勢でしている空間。それがプールなんですよね。
ふっと、それってちょっと《宇宙的》だなっておもったんです。穂村さんのプールの歌もその意味で「星が降るなり」なのかなって。しかもなにかあるとちょっとしたことでプールは死に通じているわけですから、やっぱり死にちかいと思うんですね。でももっといえば、生まれた状態にもちかい。
そういう空間で知り合いに出会うっていうことは、ふしぎだよなあっておもったんです。しかも立ち泳ぎしながら話をするなんてなかなかないじゃないですか。手や足をおよおよさせながら。
「あの日から電話いっぽんもくれないね」立ち泳ぎするきみはきびしい 柳本々々
(東京新聞・東京歌壇2016年7月10日・東直子 選)
風鈴とひたいに同じ風うけてあなたを思い出せそうでした 東直子
【プールのふしぎ】
プールって不思議な空間だなあと思っていて、かなり局所的な空間なんですよね。
ここからここまでの範囲を行ったり来たりしろという空間。
あんまりそういう空間ってないんじゃないかと思うんですね。しかもほとんど全員が裸に近い状態でいったりきたりする空間。
一時期ずっとプールに通っていたんですが、ときどきなんだろうこの空間、と思っていたんですね。こういう場初ってなかなかないぞと。
で、あまりに通いすぎて、ここで働いてみませんかと言われて、それは断ったんだけれども、ともかく局所的な場所をほとんど裸に近いひとたちが無目的に行ったり来たりを浮遊や飛翔に近い姿勢でしている空間。それがプールなんですよね。
ふっと、それってちょっと《宇宙的》だなっておもったんです。穂村さんのプールの歌もその意味で「星が降るなり」なのかなって。しかもなにかあるとちょっとしたことでプールは死に通じているわけですから、やっぱり死にちかいと思うんですね。でももっといえば、生まれた状態にもちかい。
そういう空間で知り合いに出会うっていうことは、ふしぎだよなあっておもったんです。しかも立ち泳ぎしながら話をするなんてなかなかないじゃないですか。手や足をおよおよさせながら。
「あの日から電話いっぽんもくれないね」立ち泳ぎするきみはきびしい 柳本々々
(東京新聞・東京歌壇2016年7月10日・東直子 選)
風鈴とひたいに同じ風うけてあなたを思い出せそうでした 東直子
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