【あとがき】長谷正人『映像という神秘と快楽』のあとがき
- 2016/07/24
- 08:44
……だがそれにしても、私はこうしていま「あとがき」を書きながら、本書の元になった文章群を毎月インターネット雑誌『Internet Photo Magazine』に連載していたときの、あの奇妙な「孤独」さについて思い出してしまう。同時代の他の映画研究者の論点とはほとんど関係ないところで、つまり社会的環境からわが身を切り離すかのように、自分自身の存在を問いなおす文章を書きつづけることは、本当に「孤独」な作業だった。しかも当時の私はろくにパソコンを使えなかったので、ほとんどこの雑誌を見ることさえなかったため、どのような読者がどのように読んでいるのかさえまったく想像できないまま書くしかなかった。だから何だか私は、たった一人で無人の宇宙に向かって書いているような気さえしていたのだ。しかし私はその「孤独」さに何かしらの意味があるはずだと信じて、月一度の原稿を黙々と書きつづけた。
長谷正人「あとがき」『映像という神秘と快楽』
長谷正人「あとがき」『映像という神秘と快楽』
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