あとがきの国。
- 2014/01/01
- 00:00
「おまえ、あとがきが好きなんだって?」
「え、すきだけど」
「さいきん、あとがきを好きなやつが取り締まられてるらしい」
「え、」
「とつぜん逮捕されるらしいよ、本のさいごをめくってるときに、めろめろな顔してると」
「めろめろって、どんな?」
「蜂蜜の壷のなかにかおつっこんだしゅんかんのような」
「ああ、」
「うん」
「で、逮捕されてどうなるの?」
「あとがきの国につれてゆかれるらしい」
「それじゃ、あとがき好きだからうれしがっちゃうんじゃ」
「いや、あとがき強制著述労働にまわされるらしい」
「なんと!?」
「強制的にあとがきを書かされるんだそうだ。なにもないところから、とうとつに」
「〈まえ〉がないところから〈あとがき〉を?」
「ああ、ほんとうにおそろしいことだよ──だから、おまえも──おや、」
──ああ、〈まえふり〉もなくいきなり〈あとがき〉から書き始めてしまえるなんて──。
なんという快楽的で悦楽的な〈強制著述〉だろう──。
わたしは、もう、〈あとがき〉を、書きはじめて、いる。
「え、すきだけど」
「さいきん、あとがきを好きなやつが取り締まられてるらしい」
「え、」
「とつぜん逮捕されるらしいよ、本のさいごをめくってるときに、めろめろな顔してると」
「めろめろって、どんな?」
「蜂蜜の壷のなかにかおつっこんだしゅんかんのような」
「ああ、」
「うん」
「で、逮捕されてどうなるの?」
「あとがきの国につれてゆかれるらしい」
「それじゃ、あとがき好きだからうれしがっちゃうんじゃ」
「いや、あとがき強制著述労働にまわされるらしい」
「なんと!?」
「強制的にあとがきを書かされるんだそうだ。なにもないところから、とうとつに」
「〈まえ〉がないところから〈あとがき〉を?」
「ああ、ほんとうにおそろしいことだよ──だから、おまえも──おや、」
──ああ、〈まえふり〉もなくいきなり〈あとがき〉から書き始めてしまえるなんて──。
なんという快楽的で悦楽的な〈強制著述〉だろう──。
わたしは、もう、〈あとがき〉を、書きはじめて、いる。
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- テーマ:エッセイ・散文
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