【お知らせ】跋文「森が、動く」『ステンレスの木』(あざみエージェント、2016年)
- 2016/10/11
- 11:18
エンジンの掛かったままの木が並ぶ 岩田多佳子
(『ステンレスの木』)
わたしはこれからある森について語ろうと思う。その森では次々と不思議なことが起こっている。ある主題が浮かび上がるやいなや、その主題が別の主題を呼び込み生成し、さらにその呼び込まれた主題が土壌となって別の主題を生育させていく。そうした主題が連鎖していく〈主題のネットワーク〉としての〈木/林/森の生態系〉を描くことが今回のわたしの文章の目的となる。つまり、本句集を読みながらわたしにとっての〈ステンレスの森〉をつくるということ。
柳本々々「森が、動く」『ステンレスの木』
岩田多佳子さんの句集『ステンレスの木』の跋文を書かせていただきました。選句作業は前田一石さんがされています。
この岩田さんの「あとがき」は今年の夏頃に書いたものですが、書いているあいだ、ずっとシェイクスピアの『マクベス』を持ち歩いていました。この句集はタイトルの通り、木や林や森と無機質の関係がある意味キーワードになるんですが、そう思ったときに『マクベス』のバーナムの森を思い出したからです。
わたしは「あとがき」を書かせていただくときにある作品を思い出すというのがけっこうあって、竹井紫乙さんの句集のあとがきを書かせていただいたときはひととひとの静かで過激な関係がテーマだったので岩松了さんの戯曲を持ち歩き、野間幸恵さんの句集のあとがきを書かせていただいたときは水がテーマだったのでよくグリーナウェイの映画『水の協奏曲』を観ていました。
竹井紫乙さんの句集も、野間幸恵さんの句集もそうでしたが、もしあなたが世界の隅っこで生きざるをえないような状況にあったとしても読んでいると勇気がわいてくるような句集なので、ぜひ読んでいただければさいわいです。
ファイティングポーズ豆腐が立っている 岩田多佳子
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