【あとがき】立木康介『狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛』のあとがき
- 2016/10/23
- 18:26
エレガントーーと評するにはいつもいささかエクセントリックにすぎる衣装に身を包んだ70歳の紳士が、ソルボンヌ大学法学部大講堂に詰めかけた数百人の聴衆に向かって、性関係はないのじゃ! それは疑いようのない真実なのじゃ! と訴えかける姿を思い浮かべるのは愉しい。
「性関係はない」という命題は、それを前にしてはじめて男と女がーー《享楽について》ーー真に別々の道を歩きはじめる、あるいは、ラカンの「性別の論理式」が描き出すとおり、別々の《論理》を辿りはじめるところの分水嶺にほかならない。
精神分析にとっての「症状」の価値。ファルス的なものから女性的なものへ、「すべて」に従属する喜びから「すべてでない」の薄靄のなかで自らのアイデンティティの核を見いだす悦びへと、それ以外のやりかたでは不可能な橋を架けること、それこそが症状の最もラディカルな機能なのだ。
立木康介「あとがき」『狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛』
「性関係はない」という命題は、それを前にしてはじめて男と女がーー《享楽について》ーー真に別々の道を歩きはじめる、あるいは、ラカンの「性別の論理式」が描き出すとおり、別々の《論理》を辿りはじめるところの分水嶺にほかならない。
精神分析にとっての「症状」の価値。ファルス的なものから女性的なものへ、「すべて」に従属する喜びから「すべてでない」の薄靄のなかで自らのアイデンティティの核を見いだす悦びへと、それ以外のやりかたでは不可能な橋を架けること、それこそが症状の最もラディカルな機能なのだ。
立木康介「あとがき」『狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛』
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