【川柳連作】「ゴジラ忌」『川柳の仲間 旬』208号・2016年11月号
- 2017/01/22
- 15:40
眼のように花火のように煮るように
戸を閉めたあとの顔が凄い
トランクに鮭詰められるだけ詰めて
新宿紀伊國屋書店本店に大量に浮くブラウン管
ハチ公の前具体的にかかる呪い
川柳の形態変化血を零し
高品質なぼんやりを買う
排水溝に吸い込まれゆくゴジラ幼生
試写室のまん中胚胎するゴジラ
誤っておかーさーんというゴジラ
柳本々々「ゴジラ忌」『川柳の仲間 旬』208号・2016年11月号
*
ずっと真っ暗なでんしゃにのって女とどこまでもゆくんだと思った。真っ暗なでんしゃにのってぼくは女と桜をみていた。ふたりともマスクをしていたしぼくのうしろの人間もまたマスクをしていた。ぼくの横にいたにんげんもマスクをしていた。まあみんなしていた。ぼくに女の肩がぶつかってぼくと女の状況をつくった。これらはすべて言語で行われた。
【テーマ「ひとりごと」】
ひとりごとなのに眼が六つある部屋 柳本々々
神様がひとりで言った「はじめよう」 〃
信長が最後まできて言えた「うん」 〃
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