【短歌連作】「今のペン」『かばん』2016年12月号
- 2017/01/23
- 19:11
閻魔蟋蟀閻魔蟋蟀十代はほとんど部屋にいたんじゃないか
いやきみは、思い出の場所なんてもうどうでもいいの歩き方だそれは
詩と愛と光と風と暴力ときょうごめん行けないんだの世界
シャンプーをしているときに眼を閉じる大事なときも眼を閉じている
アダムにもイヴにも俺にもあなたにも。「なにもなかった」と書いた日の日記
つっぷせば床との仲が素晴らしくどんな姿勢にも希望があるよ
ヴーーンと冷蔵庫の鳴るタイミング歩き方変よと言われた夜も
「しね」というやさしい言葉も思い出しライブに揺れる背中みている
柳本々々「今のペン」『かばん』2016年12月号
*
【添え書き】
安福さんと話していたときに、ものを書くひと、ものを描くひとの少しうつむいた姿勢は祈りの姿勢に似ていますね、と言う話になった。「今のペン」はいつも「これからの祈り」に通じているのかもしれない。いや、しれないではなくて。わたしたちはみんなもれなく「今のペン」を持っている。〈絵と短歌〉というテーマへのご寄稿ありがとうございました。また編集人・サブチーフにもお世話になりました。ありがとうございました。みなさんに深く感謝します。
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