【短歌連作】「なまあたたかい」『かばん』2017年2月
- 2017/02/12
- 22:03
…………のまんなかあたりに居るからと別れの言葉がてきとうである
返事とかどうしていいかわからないなまあたたかいままのふたりが
めがねかけたままねむるゆめのなかぬるい裸眼でおまえをみている
ふるさとにだんだん色が着いてきて他人の記憶じゃないか手をみる
探偵になりたかったよほんとうは深夜労働一五〇〇円
巨大アリス東京上空横断臨時ニュース思春期の凄さ
やぎもとと名乗るといつもやぎもとの耳がうけとめる頭蓋骨全部
だいたいは七人くらいのドワーフの、山手線の夜の暗さの
柳本々々「なまあたたかい」『かばん』2017年2月
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【添え書きの園】
宅配がきた! と思って、おもてへ駈けだしていったら、家のまわりをすごく音をたてて走っているだけのひとで(なんでかはわからない)、ときどききこえる性急なあしおとはあなただったのか、と過去のふかかいな事件をいっきに解決する。すこし眼があったのでえしゃくして、うちのなかに帰る。あたたかい
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