【短歌連作】「数字」『かばん』2017年4月号
- 2017/04/10
- 23:47
泥のように降りられない山手線にただ一音のニュースが流れ
巨乳のような季語がやってきてわたしの前を素通りしていく
ほんとうに3は最強の数字だずーっとずーっと好きでいられる
午後四時の土下座だなんてほんとうは爪を切っている予定だったのに
「パジャマパーティーは隠語だったのさ。持ち寄せられた花束の数も」
あなたずっと緊張をしていたんだね熊に並んでスープを飲んで
忘れないのは自転車のれんしゅうにつきあってくれたおとなたちの影
窓をあけるときはあけるって言ってねあけるようん窓をあける 風
柳本々々「数字」『かばん』2017年4月号
※
【添え書き】
別れ際に「ほろばないように気をつけて」と言うので、「え、転ばないように気をつけてじゃなくて?」というと「ほろばないように」という。なんですか、ほろぶって。どういうことなんですかってきくと「絶えないように」と辞書的な意味をいう。どういうことなんですかいったい、というと、電車がくる。
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