【あとがき】石原千秋『漱石激読』のあとがき
- 2017/08/10
- 08:37
新しい問いのことでは、たとえば、「漱石は『坑夫』で女を書いたのではないか」という問いをぶつけてみたところ、とても大きな手応えがあった。その日の打ち上げでは、小森さんはずっと「『坑夫』は女を書いたのかあ」と興奮して話し続けていた。
あの一〇年間は無駄ではなかったと思った。小森さんは世界史と政治のコードで漱石を論じる傾向が強くなっていたし、僕は家族と同時代のコードで漱石を論じる傾向が強くなっていた。もちろん、共通のコードがなければ話はかみ合わない。それはジェンダーとセクシュアリティー、そして近代とは何かという問いだった。適度な距離と適度な近さを生んだのは、あの一〇年間だった。
石原千秋「小森さんの大きなマスク-「あとがき」にかえて」『漱石激読』
あの一〇年間は無駄ではなかったと思った。小森さんは世界史と政治のコードで漱石を論じる傾向が強くなっていたし、僕は家族と同時代のコードで漱石を論じる傾向が強くなっていた。もちろん、共通のコードがなければ話はかみ合わない。それはジェンダーとセクシュアリティー、そして近代とは何かという問いだった。適度な距離と適度な近さを生んだのは、あの一〇年間だった。
石原千秋「小森さんの大きなマスク-「あとがき」にかえて」『漱石激読』
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