【短歌連作】「キッチンでふるえるわたしたち」『かばん』2017年8月号
- 2017/10/20
- 23:04
朝がきて乱れた髪を猫が噛むわたしを置いていかないで欲しい
幽霊もとてもだらしないかっこうをすることがある ブンと光って
円盤に乗ってるようなふわふわの生家に帰る息の鋭さ
Imagine 円盤のキッチンで裸でぶるぶるふるえるわたしたち
大切にする現実は会社でも死なないようにサラダを食べる
忘れると忘れないが日本中を覆う青い絵を描いていた
ゆるやかな嵐だったしバスだったし叶わなかったし希望だったし
死んだひとはずっとほほえんでくれる返した本をもう一度借りる
柳本々々「キッチンでふるえるわたしたち」『かばん』2017年8月号
【添え書きの園】
帰り道に大事な話をしてて私はふと、忘れないと思う、と言った。「このときにあなたと話したこのときのなんかこのときをなんか忘れないと思う大切ななんかこのときを」。相手は(そう)という顔をする。「なんか忘れないと思うよこのなんかこのときのなんかを」「そう」
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