【短歌連作】「暗いひと」『かばん』2017年9月号
- 2017/10/20
- 23:23
顔がぶっこわれてゆくような感じマスクの下の鼻の開け閉め
修正型電気けいれん療法ほんとうに会いたいひとがいる
隣席のひとと仲良くするためのときの話のゆるいかんじの
手をつないでスーパーのなかを歩く悪いことです悪いことです
「まぶしいくらいあかるいとこいても勝つんじゃないあなたの暗いかんじ」
ははっははははっはははっははっはっ変な笑い方するねわたしは
とてもいい匂いだとおもう新聞紙ときどきそのままじっとしている
「ただいま」と私が言うの怖かったなんだか家に帰ったようで
柳本々々「暗いひと」『かばん』2017年9月号
【添え書きの花園】
すごく意識的に明るくふるまっても今日は一段と暗かったですねどうされたんですかといわれるので、もうやめよう私は暗いままでいいんだと思い立つ。暗いスキップ暗い小躍り、暗いじゃんけん、暗いサイクリング、暗いピクニック、暗い鼻歌、暗いぴーひゃらら(あの吹くと伸びるやつ)。
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