【短歌連作】「焱」『かばん』2017年11月号
- 2017/10/27
- 06:42
月曜日は焱(ほのお)猫の交尾を後にわたしを殺す職場へ向かう
連絡のゆきちがいからふっと浮く火曜日だったあんぱんを食べる
水曜になると彼女は明るくて水曜日さんと僕らは呼んだ
木曜はたまに曜日をサボタージュしているけれど気づかれていない
ファンタジーなのはいつも肉だったが、土曜を最後に菜穂子は消えた
日曜は幻想だったし土曜日も幻想だった総務課隅の布団でねむる
赤ちゃんの日曜日から百歳の日曜までを日曜はフォロー
完璧な月曜なんてないんだよ光を避(よ)けてバスの列につく
柳本々々「焱」『かばん』2017年11月号
【添え書きの園】
夜道を歩いていた時に応仁の乱って何だったっけとふいにいわれ、私は知識を総動員して答えた。あれは1467年、ひとの世はむなしいって覚えるよね、だからむなしかったんじゃないかな。あるよね、サザエさんみてる日曜日の夕方にふいにむなしくなる時とか。だって、月曜日が、くるんだ。私はふるえた。
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