【短歌連作】「ぼくの力ではどうしようもないこと」『かばん』2018年2月号
- 2018/01/22
- 02:25
ソラリスの海には行ったことがない乳房が痩せる夢をみている
海だってあなたが取捨選択をしてみせてくれたらもうそれでいいよ
ソラリスの海には行ったことがないどこまで行ったのかと聞かれて
会議室なのに海の匂いがしてどうしたんだよと私だけ焦る
『惑星ソラリス』を観るたび主人公の耳毛のアップが気になっている
あのひとの「死ね」って意味を考えて不思議な光に包まれていた
ソラリスの海で犬かきする夜の母とか星がわんさか浮かぶ
ソラリスの浅瀬ぱちゃぱちゃ妻は笑み「あれからだれをあいしていたの」
柳本々々「ぼくの力ではどうしようもないこと」『かばん』2018年2月号
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【添え書きの園】
『惑星ソラリス』の有名なシーンで夫婦が抱き合いながら無重力を浮くシーンがある。なんで浮くんだろうとずっと思っていた。しかもバッハをがんがんこれみよがしに鳴らして。いろんな解釈ができるけれど、私が思ったのはこれがこの夫婦のセックスの形なのかなということ。
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