【短歌連作と百鬼夜行短歌】「結婚」『かばん』2018年4月号
- 2018/03/21
- 01:48
結婚 柳本々々
「月を降りたら電車がとてもきれいだった」あなたのてがみはとてもおもしろい
新幹線がふぁんふぁん鳴って通り過ぎあたしは結婚するのだろうか
「この書店、なんだか泉のなかみたい」彼には彼の病み方をして
居眠りのきれいな姿勢繰り返す組まれたひじにあたまうずめて
隣り合うひとの鼓動をきく車内彼が止まればたぶん彼女も
ラスクにチョコペンでなにか書けという手品の帽子かぶった女が
平面になってゆく箱制服のおとこが夢の終わりを告げる
おなじほんをひらきおなじといをくりかえしといたしずかな式場で
【添え書きの園】
夜ねむる前に、おもしろい朝、かっこいい朝、かわいい朝とはなにかを考えながらねむる。おもしろい結婚、かっこいい結婚、かわいい結婚とはなにかをかんがえながらねむる。
【新春題詠「百鬼夜行」】
シーツからいろんな先祖が出ていくがおまえはそれを見ているだけだ 柳本々々
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