【短歌連作】「愛のようす」『かばん』2018年6月号
- 2018/05/10
- 04:51
肩ロースのかたまりとかなんとか。そういうごろごろっとしたもの
が愛だとおもっていた。血がしたたるような。はなが舞っているなあ。
でも、バケツいっぱいのあめ玉のような愛もあるのかもしれないね
こまかくわけられて、まるみをおびた、邪気のない、時間をかけたもの
からだにとりこむような。小学生のころ、隣の席の女の子が机にぎっしりと
あめ玉をつめこんでいた。わたしはそれをもらったことがある。
いったいわたしたちどう歩いていけばいいのかな、と友人が言っている。
あめ玉はなめなければ、石のように固いね、と友人がいう。ようす
柳本々々「愛のようす」『かばん』2018年6月号
【添え書きの園】
岩松了さんが恋愛は二人で成立しないことをそれでも選んで破滅する行為に近いと言っていたが、恋愛って二人で気持ち悪いことをすること、このひととなら一緒に気持ち悪いことをしてもいいなってひとを探すことでもあるのではないか。
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