【感想】夏座敷招かれたかどうか不安 野口る理
- 2014/08/05
- 20:53
夏座敷招かれたかどうか不安 野口る理
【あれ、この俳る句、ぐるぐるしてる】
野口る理さんの〈る〉ってとても特徴的だとおもうんですが、なにが特徴的かというと〈る〉に胚胎している〈ぐるぐる〉=螺旋=回転=メビウスがとても大事ではないかとおもうんですね。
たとえばこの夏座敷の句も、「招かれたかどうか不安」と語り手が〈みる〉ことよりも〈おもう〉ことを語ることによって「不安」としての決定できない〈ぐるぐる〉を読み手も同時にかかえることになります。とくに俳句という極端な短さの詩形において〈おもい〉を語ることは必然的ぐるぐるを召喚します。
野口る理さんの俳句にはこのぐるぐるのドラマが多いようにおもうんですね。
それでは、おもいつくかぎり、野口る理さんのぐるぐる俳句をあげてみたいとおもいます。
チャーリー・ブラウンの巻き毛に幸せな雪
初雪やリボン逃げ出すかたちして
せんかうのけむりうらがへり苺へ
葱ぶんぶん回せば猫の立ち止まる
洗髪や目閉ぢてよりの声が変
「巻き毛」のぐるぐる、「リボン逃げ出すかたち」のぐるぐる、「せんかうのけむりうらがへ」るぐるぐる、「葱ぶんぶん回」すぐるぐる、「洗髪」で手でかきまわされる髪のぐるぐる。
こうした〈る〉の遍在を世界の、季節の、俳の、抒情の、あちこちにみいだしていくことが野口る理さんの俳句におけるひとつの主題としてみられるようにおもうんです。
もういちどさいしょの「夏座敷招かれたかどうか不安」の句にもどるならば、この世界に遍在する〈る〉の形象化は、俳句というある一定の極端な短さをもつベクトルの詩を3D化し、立体的にたちあげていく機能をもっているのではないかとおもいます。むしろ、俳句において特権的な〈切れ〉ることへの抵抗でないかとすらおもうのです。それは必然的に読み手に〈切れ〉ないことの〈不安〉をもたらし、読み手そのものに「招かれたかどうか」の〈不安〉をもたらすはずですが、しかしその不安の喚起によってあらためて読み手がかかわらざるをえない俳句の読み手としての政治的位置を再循環させることが野口さんの俳句における力学のようにもおもうんですね。
この〈る〉のぐるぐるのなかに読み手をもまきこんでぐるぐるする、ちから。
わたるしは、それが野口る理さんの、俳る句におけるる循環るするダイナるミるズムのようにるおもうるのです。
虫の音や私も入れて私たち 野口る理
【あれ、この俳る句、ぐるぐるしてる】
野口る理さんの〈る〉ってとても特徴的だとおもうんですが、なにが特徴的かというと〈る〉に胚胎している〈ぐるぐる〉=螺旋=回転=メビウスがとても大事ではないかとおもうんですね。
たとえばこの夏座敷の句も、「招かれたかどうか不安」と語り手が〈みる〉ことよりも〈おもう〉ことを語ることによって「不安」としての決定できない〈ぐるぐる〉を読み手も同時にかかえることになります。とくに俳句という極端な短さの詩形において〈おもい〉を語ることは必然的ぐるぐるを召喚します。
野口る理さんの俳句にはこのぐるぐるのドラマが多いようにおもうんですね。
それでは、おもいつくかぎり、野口る理さんのぐるぐる俳句をあげてみたいとおもいます。
チャーリー・ブラウンの巻き毛に幸せな雪
初雪やリボン逃げ出すかたちして
せんかうのけむりうらがへり苺へ
葱ぶんぶん回せば猫の立ち止まる
洗髪や目閉ぢてよりの声が変
「巻き毛」のぐるぐる、「リボン逃げ出すかたち」のぐるぐる、「せんかうのけむりうらがへ」るぐるぐる、「葱ぶんぶん回」すぐるぐる、「洗髪」で手でかきまわされる髪のぐるぐる。
こうした〈る〉の遍在を世界の、季節の、俳の、抒情の、あちこちにみいだしていくことが野口る理さんの俳句におけるひとつの主題としてみられるようにおもうんです。
もういちどさいしょの「夏座敷招かれたかどうか不安」の句にもどるならば、この世界に遍在する〈る〉の形象化は、俳句というある一定の極端な短さをもつベクトルの詩を3D化し、立体的にたちあげていく機能をもっているのではないかとおもいます。むしろ、俳句において特権的な〈切れ〉ることへの抵抗でないかとすらおもうのです。それは必然的に読み手に〈切れ〉ないことの〈不安〉をもたらし、読み手そのものに「招かれたかどうか」の〈不安〉をもたらすはずですが、しかしその不安の喚起によってあらためて読み手がかかわらざるをえない俳句の読み手としての政治的位置を再循環させることが野口さんの俳句における力学のようにもおもうんですね。
この〈る〉のぐるぐるのなかに読み手をもまきこんでぐるぐるする、ちから。
わたるしは、それが野口る理さんの、俳る句におけるる循環るするダイナるミるズムのようにるおもうるのです。
虫の音や私も入れて私たち 野口る理
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