【詩44】カレーパン大佐
- 2023/09/27
- 00:00
うおおっ
っておもったんだけど
たしかに
じぶんでやれ
って そのおねえさんが
いったんですよね
このカレーパン
あっためてください
って いつもほかでするように
いったら
東京駅ちかくの きょだいな
コンビニの てんいんの
インド人のおねえさんの
ひとさしゆびが
フライトするみたいに
すーっと浮かんで
とおくを おれの
むっつりしたからだの
はるかはいごをゆびさして
太刀魚みたいな銀いろの
電子レンジを ゆびさして
「じぶんでやれ」
そのとき そのおねえさんは
おれがいきてゆくことのぜんぶを
いったきがして
カレーパンもったまま
ちょっとおろおろして
おくにずらっとならぶ
キューブリックの映画にでてきそうな
整列した電子レンジの群れのなかに
のろのろ むかったんだけど
でも ああそうか そうなんだな
きっと そういう司令
みたいなひとが いきてると
ときどき降りてくるって
わかった って
いったらいいかな
よかった んです
天使があちこちまちにいるのは
わかってんです そういうはなしも
したことがあります みんなと
ただ 司令もたぶんいるんですね
まちのあちこちに
で ときどきおりてきて
じぶんでやれ
っていう
なんのためかはわからない
いいとかわるいでもないんだな
指令を下すために
やってくるというか
カレーパンあたためレベルでも
わざわざ
やってくるわけです
そしてこんかいはそれが
丸の内だった
○
はじまっちゃうはじまっちゃう
とおもいながら
ネクタイがむすべなくて
ずっとうろうろしてたことがあって
やさしくされるんじゃないかと
おもって なくふりなんかもしてたと
おもうんだけど
まああたりまえですが
だれもむすんでくれない
じぶんでやってはみるが
どうやっても蝶々むすびの
死骸みたいなかたちになっていく
ちらっとみてたひとも
蝶々の死骸を垂らしてるようすにぎょっとして
まあでもこれでもうしらないかおして
すましてすわっとくかとおもったわけです
しかたないじゃないかと
むすべないものはむすべないんだから
でも そのときもやっぱり
カレーパン司令ですよね
じぶんでやれ ぜんぶやれ
おまえのぜんぶでやれ
光の柱ですーっとおりてきて
つめたいカレーパンをおれにわたして
じぶんでやれ
と
まあやってもできなかったんだけど
そういうことじゃないんですよね
カレーパン司令は光の柱を
シースルーエレベーターみたいに
のぼったりおりたりしている
モノリスみたいなかんじで
無機的に
この世界に有機的なかんれんをもたないように
もっといえば おれとあまったるいかんけいに
ならないように
やれ じぶんでやれ くんれんではない
電子レンジは いつもおまえの死角にある
ふりむけ さけべ なくな
むすべ あたためろ やはり 泣け
いろんなひとのくちをかりて
カレーパン司令は
おれのところに
やって くる
天気 みたいなもんかな
と せつめいすることも
ありますぜんぶにげです
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