【詩51】めがねのいないところ
- 2023/10/04
- 00:01
めがねって童話や昔話で
かつやくしてたっけ
ってきかれて
うーん そうだね
犬 めがね キジ
のじゅんばんで家来になってくれたらよかったのにね さる を わすれて
っていったのだけれど
かのじょは めがねをかおにくっつけたまま
なっとくしない
かんじ だった
あたしが ねむたくなって
テーブルにうつぶせになるとき
うでをくんでそのなかに
かおをいれるよね
だからめがねを すっと はずして
かおのわきに おいて
めがねはずっとそばに
いてくれる
それは なんなのかな
めがねはずっとそんなふうに
わたしのまわりをこれからも
とびかっていくのかな
ねえ、
めがねのいないところを
ひとはそうぞうできるかな
と いわれて
ぼくもめがねのとびかう
こんな話をした
そういえば
むかし おんなのこが
めがねをわすれていったことがあるよ
会ったあとに
そのこにとって
めがねはあってもなくても
どっちでもいいものだったんだね
どうでもいいものを
かおにくっつけて
ぼくにあってたんだよね
そうしてかのじょのどうでもいいものを
ぼくに さいご くれたんだよね
これ あたしのかおにくっついてたもの
だから って
いや あるいは ね
かのじょはぼくとあったあと
めがねのいないところに
めがねのけはいすらかんじさせないところに
いきたかったのかも ね
そこにはめがねのかんかくや
めがねのかおり めがねの気なんかは
いっさいない
みじんもかんじさせない
無めがね なんだ
めがねがはっする気流みたいなもん
めがねの息みたいなもんは
そこに ない
めがねにこころをしはいされないでいられるんだ
かのじょはそこで
めがねのことをことごとくわすれて
かおになんにもくっつけずに
たっぷりねむる
あらゆるめがねのことをわすれて
これまでのめがね込みのえがおを
けして
かのじょは あたらしいなにかが
くっついてくる朝をまっている
こういうめがねのはなし
どうおもう?
と ぼくはきいた
ぼくはときどき
わすれる って
しんぴてきだなあと
おもうことがある
機会があれば
できるだけ わすれたい
いろんなかたちで ばしょで
わすれたい
ねむってわすれるんじゃなくて
ねむるまえにわすれたい
はじめて会ったひとには
あいさつがわりに
わすれたい
そうして
これまでぼくが
どんなものをどんなふうに
わすれてきたかを
熱く
話したい
そうしてそれを
すぐにすっかり
わすれてしまいたい
でもそんなことはできっこないんだよ
いつも めがねがぼくの顔の
ストッパーになって
ぼくが ながれることを
わすれることを
そし するから
阻止 ってかんかく
わかってくれるよね?
かのじょは ぼくの話なんか
もちろん きいていない
めがねをけらいにしたらよかったのに
そうしたら 未来がちがったのに
なんなの さる
さるってかにとも こじれてたわよね
いつもむかしのはなしで
わたしたちのみらいが
とても
むかしのはなしに
悪態をつきながら
かのじょは
めがねを いじる
たたむ すぐひらく
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