【お知らせ】「境界破壊者たち 樋口由紀子句集『容顔』の一句」『週刊俳句 Haiku Weekly第381号』
- 2014/08/10
- 00:47
『週刊俳句 Haiku Weekly第381号』にて「境界破壊者たち 樋口由紀子句集『容顔』の一句」という文章を載せていただきました。『週刊俳句』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました。
お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。
樋口由紀子さんの川柳にはじめてであったときは、自分のスタンスをあなたはいったいどう取るのか、をつきつけられたように思ったんです。
それはたぶん樋口由紀子さんの句がどこかにスタンスを確保することによって成り立つというよりも、そういう〈スタンス〉が浮き彫りになっていく瞬間そのものを句にしているからじゃないかとおもうんですね。
つまり、川柳とは、〈あなた〉の問題なのだ、〈あなた〉が〈どこ〉に立ってるかが問題なんだということをつきつけてくる川柳です。その意味では、厳格だし、残酷です。だから必死にかんがえていたようにおもいます。〈スタンス〉ということについて。〈スタンス〉がどのような境界線が交錯することによって浮かび上がってくるのかという恣意的で・偶有的で・ときに政治的な〈場〉であるかもしれないということについて。
句集タイトルの「容顔」というのは、「顔つき、顔かたち」という意味なんですが、「顔」とは〈み〉ている〈わたし〉が〈あなた〉に〈みられ〉るコトによってはじめて成立している境界領域的な〈場〉です。
そしていつでも〈わたし〉や〈あなた〉が視線をシャットダウンすることによって「顔」をブラックアウトさせてしまえるという意味において、いつでもわたしたちは〈境界破壊者(たち)〉であるといえるのではないかとおもうんです。
「顔かたち=容顔」とは、境界線が交錯するほんのつかのまの境界領域のなかでただいちどだけ明滅する、きわめて現象的な、しかし把持できないというそのことによって現実的な、〈わたし/たち〉をめぐる〈場〉のことではないかとおもうのです。
くちびるの意識が戻る藪の中 樋口由紀子
お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。
樋口由紀子さんの川柳にはじめてであったときは、自分のスタンスをあなたはいったいどう取るのか、をつきつけられたように思ったんです。
それはたぶん樋口由紀子さんの句がどこかにスタンスを確保することによって成り立つというよりも、そういう〈スタンス〉が浮き彫りになっていく瞬間そのものを句にしているからじゃないかとおもうんですね。
つまり、川柳とは、〈あなた〉の問題なのだ、〈あなた〉が〈どこ〉に立ってるかが問題なんだということをつきつけてくる川柳です。その意味では、厳格だし、残酷です。だから必死にかんがえていたようにおもいます。〈スタンス〉ということについて。〈スタンス〉がどのような境界線が交錯することによって浮かび上がってくるのかという恣意的で・偶有的で・ときに政治的な〈場〉であるかもしれないということについて。
句集タイトルの「容顔」というのは、「顔つき、顔かたち」という意味なんですが、「顔」とは〈み〉ている〈わたし〉が〈あなた〉に〈みられ〉るコトによってはじめて成立している境界領域的な〈場〉です。
そしていつでも〈わたし〉や〈あなた〉が視線をシャットダウンすることによって「顔」をブラックアウトさせてしまえるという意味において、いつでもわたしたちは〈境界破壊者(たち)〉であるといえるのではないかとおもうんです。
「顔かたち=容顔」とは、境界線が交錯するほんのつかのまの境界領域のなかでただいちどだけ明滅する、きわめて現象的な、しかし把持できないというそのことによって現実的な、〈わたし/たち〉をめぐる〈場〉のことではないかとおもうのです。
くちびるの意識が戻る藪の中 樋口由紀子
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