【あとがき】木村榮一『翻訳に遊ぶ』のあとがき
- 2014/03/31
- 12:06
読み進むうちに読者はそれが翻訳書であることを忘れる、つまり、黒子である訳者の姿が消えている、そういう訳が理想ではないかとひそかに考えている。しかし、訳を進める翻訳者はその陰で、テキストを愛しつつも、思い悩み、迷い、苦闘し、時にはいらだち、怒りを覚えることさえある。まさしく、彼はテキストを愛し、ともに生きているのである。巻頭に引いたオウィディウスの言葉(「うまく隠れて生きた者こそ、よく生きた者だ」とも訳せるそうだが)は、はからずも翻訳者のそうした一面を表しているようにも思われる。
木村榮一「あとがき」『翻訳に遊ぶ』
木村榮一「あとがき」『翻訳に遊ぶ』
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