【感想】大西泰世『句集 こいびとになってくださいますか』-ファイナル・リア充のゆくえ-
- 2014/04/22
- 12:14
こいびとになってくださいますか吽(うん)
本書のタイトルにもなっている句で、まえまえからずっと気になっていた句だったんですが、大西さんの句集を読みながら、この句は内容面よりも形式面でとらえたほうがいい句なんではないかとおもいました。
この句は、「吽」までがすべてひらがな表記になっているのが大事なのではないかと。
そして「うん」という本来はひらがな表記するべきはずの発話が「吽」と漢字変換されている。
本来からすれば「恋人になってくださいますか うん」がナチュラルなのに、それにさからうように、というよりも対立構図をつくるように表記の対立がみられる。
つまり、この句というのは、じつは内容面の「YES」に対して、形式面では対立しあっているという相反したベクトルを同時に内包している句なのではないかとおもうのです。
だから「うん」が「うん」になりきれていない。
もうひとつは、この「吽」が阿吽(あうん)という梵字からきている点です。
阿(あ)がすべてのはじまりをあらわし、吽(うん)がすべての終わりをあらわすとするならば、この「吽」は、ことびとになってくださいますかとの問いかけに「YES」とこたえつつ、「NO」とこたえていることになります。吽(うん)とはすべてのおわりなのだから。
つまり、くだけたいいかたをしてしまうならば、この句は、みためのリア充感とは異なり、ファイナルデッドエンドをうたっている句ということになります。
そのねじれがこの句の、異様なおもしろさではないかとおもうのです。うん。
身のうちの最高音を見いだしぬ
本書のタイトルにもなっている句で、まえまえからずっと気になっていた句だったんですが、大西さんの句集を読みながら、この句は内容面よりも形式面でとらえたほうがいい句なんではないかとおもいました。
この句は、「吽」までがすべてひらがな表記になっているのが大事なのではないかと。
そして「うん」という本来はひらがな表記するべきはずの発話が「吽」と漢字変換されている。
本来からすれば「恋人になってくださいますか うん」がナチュラルなのに、それにさからうように、というよりも対立構図をつくるように表記の対立がみられる。
つまり、この句というのは、じつは内容面の「YES」に対して、形式面では対立しあっているという相反したベクトルを同時に内包している句なのではないかとおもうのです。
だから「うん」が「うん」になりきれていない。
もうひとつは、この「吽」が阿吽(あうん)という梵字からきている点です。
阿(あ)がすべてのはじまりをあらわし、吽(うん)がすべての終わりをあらわすとするならば、この「吽」は、ことびとになってくださいますかとの問いかけに「YES」とこたえつつ、「NO」とこたえていることになります。吽(うん)とはすべてのおわりなのだから。
つまり、くだけたいいかたをしてしまうならば、この句は、みためのリア充感とは異なり、ファイナルデッドエンドをうたっている句ということになります。
そのねじれがこの句の、異様なおもしろさではないかとおもうのです。うん。
身のうちの最高音を見いだしぬ
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