【感想】けいさつをたたいてたいほしてもらいろうやの中で生活をする 鳥居
- 2014/08/12
- 05:19
けいさつをたたいてたいほしてもらいろうやの中で生活をする 鳥居
【表記上のたたかい】
この歌からわたしが強く感じることがひとつあってそれは表記にかかわることなんですね。
この歌は表記に力点があるうただとおもっているんです。
語り手は、「けいさつ」も「たたいて」も「たいほ」も「ろうや」もすべてひらいてひらがなにしています。どのことばも〈拘束)を感じさせることばですが、それをあえて漢字というそれ自体、格子=檻のような表記ではなく、あえてひらいていることが大事だと思うんですね。つまり、語り手は、「けいさつ」とかかわらざるをえないくらい逼迫しているが、しかし、言語上はフリーダムである、ことばを介在すれば〈法〉を手にするちからさえもっている。そんなところがあらわれているとおもうんです。
それからもうひとつ。この歌は、「中」と「生活」は漢字表記なんです。これも、この歌の大事な部分だとおもいます。つまり、語り手にとって漢字表記にしたいほど手数をかけたい(しかしそれだけ語り手が縛られてもいる)重心がここにあるからだとおもうんです。「中」というのは「ろうや」の「中」ではおそらくないとおもうんです。それならば「牢屋の中」でいいはずです。おそらくこの「中」というのはシェルターとしての中なのではないかとおもうんですね。だからそれは「生活」とも結びついてきます。自分を自分として守る空間を確保すること。それが語り手にとっての〈生活〉なのではないでしょうか。そしてこうした表記上の戦いを短歌によって実践しているのがこの歌の語り手だとおもうんですね。語り手にとって〈生活〉は〈わたし〉が〈わたし〉でいられる〈中=空間〉を確保することであり、そしてそれは言語をとおした〈法〉への戦いでもある、と。
あおぞらが妙に乾いて紫陽花があざやか なんで死んだの 鳥居
【表記上のたたかい】
この歌からわたしが強く感じることがひとつあってそれは表記にかかわることなんですね。
この歌は表記に力点があるうただとおもっているんです。
語り手は、「けいさつ」も「たたいて」も「たいほ」も「ろうや」もすべてひらいてひらがなにしています。どのことばも〈拘束)を感じさせることばですが、それをあえて漢字というそれ自体、格子=檻のような表記ではなく、あえてひらいていることが大事だと思うんですね。つまり、語り手は、「けいさつ」とかかわらざるをえないくらい逼迫しているが、しかし、言語上はフリーダムである、ことばを介在すれば〈法〉を手にするちからさえもっている。そんなところがあらわれているとおもうんです。
それからもうひとつ。この歌は、「中」と「生活」は漢字表記なんです。これも、この歌の大事な部分だとおもいます。つまり、語り手にとって漢字表記にしたいほど手数をかけたい(しかしそれだけ語り手が縛られてもいる)重心がここにあるからだとおもうんです。「中」というのは「ろうや」の「中」ではおそらくないとおもうんです。それならば「牢屋の中」でいいはずです。おそらくこの「中」というのはシェルターとしての中なのではないかとおもうんですね。だからそれは「生活」とも結びついてきます。自分を自分として守る空間を確保すること。それが語り手にとっての〈生活〉なのではないでしょうか。そしてこうした表記上の戦いを短歌によって実践しているのがこの歌の語り手だとおもうんですね。語り手にとって〈生活〉は〈わたし〉が〈わたし〉でいられる〈中=空間〉を確保することであり、そしてそれは言語をとおした〈法〉への戦いでもある、と。
あおぞらが妙に乾いて紫陽花があざやか なんで死んだの 鳥居
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