【感想】息吸つて止めてまた吐き姫はじめ 松本てふこ
- 2014/09/25
- 05:59
息吸つて止めてまた吐き姫はじめ 松本てふこ
【セックスを日常化する】
「姫はじめ」というとすぐに想起するのは、新年一回目のセックスなんですが、ただそうした姫はじめに限定しなくても、辞書にあるように「正月にやわらかくたいた飯(=姫飯(ひめいい))を食べ始める日とも,「飛馬始め」で馬の乗り初めの日とも,「姫糊始め」の意で女が洗濯や洗い張りを始める日ともいわれる」ので、だからこの「姫はじめ」を新年にはじめて食べるご飯、はじめてする洗濯、はじめて乗る電車、はじめてするもろもろの世界のことごとととってもいいんじゃないかと思ったりするんです。
なぜそのように、もろもろのことへと姫はじめを適用してもいいのかなと思うのかといえば、下5の「姫はじめ」に行き着くまでのその語り手のプロセスにあります。
「息吸つて止めてまた吐き」というのは、セックスの過程における〈気息〉のありかたのようにも思えるんですが、セックスを相手との関係のなかでことばにするんじゃなくて、じぶんの呼吸を12音に言語化したことで、じぶんをめぐる所作として句が成立していく。
息を吸って・止めて・また吐いて・息を吸って・止めて・また吐いて、というここではセックスが〈進化論的=リニア〉な〈イク=絶頂〉をめぐらない、循環する、サイクルするようなセックスのありかたとして描かれている。
こうしたサイクルする気息のありかたとしてセックスが描かれることによって、新年におけるはじめてのもろもろのできごと、また来年もやってくるであろう、はじめてだけれど循環している出来事も呼び込んでいくのではないかとおもうのです。
不健全図書を世に出しあたたかし 松本てふこ
【セックスを日常化する】
「姫はじめ」というとすぐに想起するのは、新年一回目のセックスなんですが、ただそうした姫はじめに限定しなくても、辞書にあるように「正月にやわらかくたいた飯(=姫飯(ひめいい))を食べ始める日とも,「飛馬始め」で馬の乗り初めの日とも,「姫糊始め」の意で女が洗濯や洗い張りを始める日ともいわれる」ので、だからこの「姫はじめ」を新年にはじめて食べるご飯、はじめてする洗濯、はじめて乗る電車、はじめてするもろもろの世界のことごとととってもいいんじゃないかと思ったりするんです。
なぜそのように、もろもろのことへと姫はじめを適用してもいいのかなと思うのかといえば、下5の「姫はじめ」に行き着くまでのその語り手のプロセスにあります。
「息吸つて止めてまた吐き」というのは、セックスの過程における〈気息〉のありかたのようにも思えるんですが、セックスを相手との関係のなかでことばにするんじゃなくて、じぶんの呼吸を12音に言語化したことで、じぶんをめぐる所作として句が成立していく。
息を吸って・止めて・また吐いて・息を吸って・止めて・また吐いて、というここではセックスが〈進化論的=リニア〉な〈イク=絶頂〉をめぐらない、循環する、サイクルするようなセックスのありかたとして描かれている。
こうしたサイクルする気息のありかたとしてセックスが描かれることによって、新年におけるはじめてのもろもろのできごと、また来年もやってくるであろう、はじめてだけれど循環している出来事も呼び込んでいくのではないかとおもうのです。
不健全図書を世に出しあたたかし 松本てふこ
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