【短歌・連作】「http://utau-grim-douwa.com」『かばん』2014年5月号
- 2014/09/28
- 11:11
「重ねれば重ねるほどに偽りは多声化される」by ブレーメン
青ひげのように図書館徘徊し地下二階で遭う好きなひt(ry
《クロモンコガタキガエル》と名乗ってるカエルの王をすぐにGoogle(ググ)った
百年とちょっと眠って返信をLINEで返す「日本語でおk」
板チョコにふとんをしいてヘンゼルの着信を待つ→→→→ゼリーふるえる→→
『毒(も)ってみた』タグをつけてるお妃の動画のなかがコメントの森
満たされて沈むオオカミ羨んで思春期に棲む赤ずきんたち
現代の歌うグリムがレビューする斧にお菓子に@YouTube
柳本々々「http://utau-grim-douwa.com」『かばん』2014年5月号
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「前号評」にて、嶋田恵一さん、田中ましろさん、雨宮司さんから、評をいただきました。ありがとうございました!
0時前まくらもとにて錠剤をこぼしてあした、時はかけない 柳本々々
筒井康隆原作の『時をかける少女』を下敷きにした連作です。錠剤を0時前に呑めばタイムトリップできるのに、錠剤をこぼして呑みそこなったので、明日は時空をかけられないという少女を詠っています。 嶋田恵一「かばん三月号評」『かばん』2014年5月号
てのひらがひかりをしらぬ春の日にえいえんに似たあやとりをする 柳本々々
【名刺分類Ⅲ 哲学者タイプの人】
新しいものの見方を提示するタイプ。常識さえも疑って、読者に気づきを与えます。
(……)
あやとりの永遠感にハッとしました。向かい合ってあやとりをする二人の、閉じられた世界にある永遠。吸い込まれるような魅力のある歌です。 田中ましろ「お名刺、頂戴いたします~かばん一月号評~」『かばん』2014年3月号
あぐらかきメトロンの説く哲学が「きみをたおすことはもんだいでない」 柳本々々
「メトロン」はメトロン星人のことか。「ウルトラセブン」で煙草に強力な興奮剤を仕込んで売りさばき、社会を混乱に陥れようとした。番組そのまんまという気もするが、何といっても切り取り方が上手い。確かに、双六は相手を倒すゲームではなく、相手より先にゴールするゲームだ。 雨宮司「二月号評」『かばん』2014年4月号
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桜蕊降るくれなゐの路はしるマラソン選手の足裏そろふ 嶋田恵一
肩までの髪をしずかに開かせるこれは秋へと続く風だね 田中ましろ
サラウンドシステムの真ん中に座し立体らしさを確かめている 雨宮司
『かばん』2014年5月号の表紙絵は、東直子さんの「かなたへ」です。
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