【感想】風止まる岸田今日子のかたちして 村田篠
- 2014/10/26
- 00:59
風止まる岸田今日子のかたちして 村田篠
【ムーミンのかたち、☆のかたち、風のかたち】
岸田今日子さんの声って独特の声で、私が好きな岸田さんの声があってそれが『ムーミンパペットアニメーション』のときのナレーションと、旧・刑事コロンボの声をあてていた小池朝雄さんとやったサン=テグジュペリ『星の王子さま』のラジオドラマのときの王子さまの声です。このとき、不時着して王子と出会うパイロットの声は小池さんでした。
小池朝雄さんの声も、岸田今日子さんの声も、抜けるようで抜けない声色だとおもうんです。
温もりと、かすれ具合をもったふしぎな声色です。
そうした温もりとかすれ具合はたとえば小池さんは、コロンボやパイロットにおいて、やさしさとやさしさだけに還元できない抜け目なさとして表現されたとおもうし、岸田さんの場合は、たとえばムーミンや星の王子さまにおいて、人柄や幼さの丸っこさと、しかしそれだけではおさめきれないかなしみを表現していたとおもいます。
そうした独特のふたりの、おなじような声色があった。
掲句の村田さんの句では、吹き抜けることを本質にもつ風が、とまります。
風がやむ、ではなく、風がとまる、とすることによって、風の質量が消えないままに、いま・ここに停留しつつも、風の本来的な吹き抜ける機能を失調していることをも同時にあらわすことにある。
いま・ここに、吹き抜けられない風として、〈とまる〉こと。
しかし、〈とまる〉でしかないことから、岸田今日子のかたちをとった風はまた機能を回復して吹き抜けるかもしれないということ。
そんなふうな、風としての機能のぬくもりを温存しつつも〈とまる〉ことによって一時的にかすれるという岸田さんの声色にも似たシーンが展開されているのではないかとおもいます。
ちなみに刑事コロンボにおいて、岸田今日子さんが犯人役の声をあてているときがあってそれが『ロンドンの傘』という回です。舞台俳優が犯人なのでシェイクスピアのマクベスにもなぞらえてあったりして、文学好き・演劇好きのひとにもおすすめです。
しかもこの回の傘のトリックは日常的にもあなたの身に起こりうることかもしれなくて。
花野より傘をなくして帰りたる 村田篠
【ムーミンのかたち、☆のかたち、風のかたち】
岸田今日子さんの声って独特の声で、私が好きな岸田さんの声があってそれが『ムーミンパペットアニメーション』のときのナレーションと、旧・刑事コロンボの声をあてていた小池朝雄さんとやったサン=テグジュペリ『星の王子さま』のラジオドラマのときの王子さまの声です。このとき、不時着して王子と出会うパイロットの声は小池さんでした。
小池朝雄さんの声も、岸田今日子さんの声も、抜けるようで抜けない声色だとおもうんです。
温もりと、かすれ具合をもったふしぎな声色です。
そうした温もりとかすれ具合はたとえば小池さんは、コロンボやパイロットにおいて、やさしさとやさしさだけに還元できない抜け目なさとして表現されたとおもうし、岸田さんの場合は、たとえばムーミンや星の王子さまにおいて、人柄や幼さの丸っこさと、しかしそれだけではおさめきれないかなしみを表現していたとおもいます。
そうした独特のふたりの、おなじような声色があった。
掲句の村田さんの句では、吹き抜けることを本質にもつ風が、とまります。
風がやむ、ではなく、風がとまる、とすることによって、風の質量が消えないままに、いま・ここに停留しつつも、風の本来的な吹き抜ける機能を失調していることをも同時にあらわすことにある。
いま・ここに、吹き抜けられない風として、〈とまる〉こと。
しかし、〈とまる〉でしかないことから、岸田今日子のかたちをとった風はまた機能を回復して吹き抜けるかもしれないということ。
そんなふうな、風としての機能のぬくもりを温存しつつも〈とまる〉ことによって一時的にかすれるという岸田さんの声色にも似たシーンが展開されているのではないかとおもいます。
ちなみに刑事コロンボにおいて、岸田今日子さんが犯人役の声をあてているときがあってそれが『ロンドンの傘』という回です。舞台俳優が犯人なのでシェイクスピアのマクベスにもなぞらえてあったりして、文学好き・演劇好きのひとにもおすすめです。
しかもこの回の傘のトリックは日常的にもあなたの身に起こりうることかもしれなくて。
花野より傘をなくして帰りたる 村田篠
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