【感想】人間は自由すぎても困るから青空に軟禁されている 田中ましろ
- 2014/11/15
- 06:00
人間は自由すぎても困るから青空に軟禁されている 田中ましろ
【定型は、裏切る】
定型そのものは実はそれを使う語り手とは独立しており、その意味で定型はときに語り手に対峙さえする他者であり、語り手を平然と裏切ることもある。
そんなふうにかんがえるときがあります。
ましろさんのうえの歌。
自由すぎても困るから青空に軟禁されているんだ、と語り手は歌っています。
これを定型に沿ってわけてみます。
にんげんは/じゆうすぎても/こまるから/あおぞらになん/きんされている
すべてかっちりあてはまるのですが、「軟禁」だけが「軟/禁」と定型上、分割されています。
つまりここで語り手は定型を使ったがために「軟禁」の〈軟禁〉を失敗しています。
定型上、軟禁は〈軟禁〉されず、定型によって〈自由〉になっています。
ということは、定型が語り手の言説を裏切っているということです。
語り手が、「自由」についてみずからの言説を〈自由〉に構築したように、定型もまたおのれの〈自由〉のもとに語り手とは《べつのかたちで》〈自由〉を構築していく。
こうした青空よりも自由な定型が、語り手の言説を裏切るかたちで発動してくるところにこの短歌のひとつの短歌としてのおもしろさがあるのではないかとおもうのです。
夜に散る桜 誰にも見られずに生きてくほうが難しかった 田中ましろ
【定型は、裏切る】
定型そのものは実はそれを使う語り手とは独立しており、その意味で定型はときに語り手に対峙さえする他者であり、語り手を平然と裏切ることもある。
そんなふうにかんがえるときがあります。
ましろさんのうえの歌。
自由すぎても困るから青空に軟禁されているんだ、と語り手は歌っています。
これを定型に沿ってわけてみます。
にんげんは/じゆうすぎても/こまるから/あおぞらになん/きんされている
すべてかっちりあてはまるのですが、「軟禁」だけが「軟/禁」と定型上、分割されています。
つまりここで語り手は定型を使ったがために「軟禁」の〈軟禁〉を失敗しています。
定型上、軟禁は〈軟禁〉されず、定型によって〈自由〉になっています。
ということは、定型が語り手の言説を裏切っているということです。
語り手が、「自由」についてみずからの言説を〈自由〉に構築したように、定型もまたおのれの〈自由〉のもとに語り手とは《べつのかたちで》〈自由〉を構築していく。
こうした青空よりも自由な定型が、語り手の言説を裏切るかたちで発動してくるところにこの短歌のひとつの短歌としてのおもしろさがあるのではないかとおもうのです。
夜に散る桜 誰にも見られずに生きてくほうが難しかった 田中ましろ
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