【感想】さまざまな仮説へ伸びる菌糸体 山田ゆみ葉
- 2014/12/24
- 01:30
あぴーるを吸って溶かして杉木立 山田ゆみ葉
先駆けの風はにほひをふり払う 〃
百足封じの札をこっそり舐めてみる 〃
さまざまな仮説へ伸びる菌糸体 〃
すかんぽの味は迷いのリフレイン 〃
【菌糸体化する連作】
『川柳カード7号』の山田ゆみ葉さんの「頭虫夏草」からの数句です。
わたしは「冬虫夏草」というのはたしかマンガの『美味しんぼ』を読んでいて知ったんですが、あれはたしか料理に使うもので、独特の形容をしています。
たしか植物が虫のからだを栄養分にして、虫のからだはそのままに虫からそのまま芽が生えて成長していく。
そういったイメージだったとおもいます。
だから、こうした「冬虫夏草」のイメージには、虫のからだをもっている下層の部分と、でもそこからゆるく連節しながら芽がひたきのびている上層の部分、そしてそれらが「冬虫夏草」としていっしょの位相としてあつかわれる統合化された多層性というふうに、いろんな位相をかせあわせてもつイメージをうけもっているとおもうのです。
で、それが、このゆみ葉さんの連作の表記の〈ゆれ〉にもあらわれているようにも、おもいます。
「あぴーる」「にほひ」「こっそり」「リフレイン」がちがう位相にありながらもそれらがある統一体として連作のなかでゆるやかにつながっていくこと。
これは句に書かれているとおり、「迷いのリフレイン」でありつつも、「さまざまな仮説へ伸びる菌糸体」だともおもいます。
そうした「冬虫夏草」のようにちがいあう場所にあるものが相互に寄生しつつも、しかし連作のなかでゆるやかなひとつの生命体と化していくこと。
それが、ゆみ葉さんのこの連作には感じられるようにおもうのです。
切れ者と呼ばれ茶バネと同衾す 山田ゆみ葉
先駆けの風はにほひをふり払う 〃
百足封じの札をこっそり舐めてみる 〃
さまざまな仮説へ伸びる菌糸体 〃
すかんぽの味は迷いのリフレイン 〃
【菌糸体化する連作】
『川柳カード7号』の山田ゆみ葉さんの「頭虫夏草」からの数句です。
わたしは「冬虫夏草」というのはたしかマンガの『美味しんぼ』を読んでいて知ったんですが、あれはたしか料理に使うもので、独特の形容をしています。
たしか植物が虫のからだを栄養分にして、虫のからだはそのままに虫からそのまま芽が生えて成長していく。
そういったイメージだったとおもいます。
だから、こうした「冬虫夏草」のイメージには、虫のからだをもっている下層の部分と、でもそこからゆるく連節しながら芽がひたきのびている上層の部分、そしてそれらが「冬虫夏草」としていっしょの位相としてあつかわれる統合化された多層性というふうに、いろんな位相をかせあわせてもつイメージをうけもっているとおもうのです。
で、それが、このゆみ葉さんの連作の表記の〈ゆれ〉にもあらわれているようにも、おもいます。
「あぴーる」「にほひ」「こっそり」「リフレイン」がちがう位相にありながらもそれらがある統一体として連作のなかでゆるやかにつながっていくこと。
これは句に書かれているとおり、「迷いのリフレイン」でありつつも、「さまざまな仮説へ伸びる菌糸体」だともおもいます。
そうした「冬虫夏草」のようにちがいあう場所にあるものが相互に寄生しつつも、しかし連作のなかでゆるやかなひとつの生命体と化していくこと。
それが、ゆみ葉さんのこの連作には感じられるようにおもうのです。
切れ者と呼ばれ茶バネと同衾す 山田ゆみ葉
- 関連記事
スポンサーサイト
- テーマ:読書感想文
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:々々の川柳感想