【感想】干からびた君が好きだよ連れて行く 竹井紫乙
- 2015/01/22
- 23:34
紫乙さんの句でわたしがだいすきな句のひとつに、
干からびた君が好きだよ連れて行く 竹井紫乙
という句があって、こないだ電車のなかでへろへろで力つきそうなときにこの句についてかんがえていたんです(よくつっぷしたまま力つきそうなときや風邪をひいてはげしくうとうとしながら寝込んでいるときにこの句についてかんがえたりしているんです)。
で、ふっと、おもったのが、これは〈片想い〉の句なんだな、ってことです。
了承をとらないんですよ。連れて行くのに。
というより、了承がとれない。あいてに。
あいては、ひからびちゃっているから。
これ、なんで連れて行くかっていうと、「好きだ」からなんですが、あいてがじぶんを好きかどうかはわからない。わからないんだけれども、この句がおもしろいのは、あいてが「干からび」てしまっているところです。
干からびるってどういうことかっていうと、想いや意志の主体にはなれないよ、ってことなんです。ひからびちゃってるんだから。
だから、〈片想い〉なんです。
だけれどもこの語り手は「干からびた君も好きだよ」とはいっていない。「干からびた君が好きだよ」と、「干からび」てはじめてこの想いの句は成立するんです。
だからこれは究極の片想いの句だなとおもうんです。
愛情がこんなにあふれているのに、想いが通じなくなったところ、究極の片想いしか成立できない場所になってはじめてたちあがってくる句。
それがこの句だとおもうんですよ。
掘り出して下さい一応光るから 竹井紫乙
階段で待っているから落ちてきて 〃
くんじろうさんが発行している『第51回川柳北田辺』(2014年12月28日)からさいきんの紫乙さんの句を引いてみました。
ちょっとおもしろいのが、「連れて行く」という片想い性の〈移行〉が、「掘り出して下さい」「落ちてきて」と両想い的移行になっているところです。
光るのをみてくれるひとがいるから掘り出される意味がでてくる。待っていてくれるひとがいるから落ちる意味がでてくる。
移行することが、だれかへの接続(アクセス)になっていく。
ひから・びる、から、ひかる、へ。
ともかく、片想いにしろ両想いにしろ、紫乙さんの句の〈移行〉には、ひとひととが断絶しあい連絡しあうような意味がある。
もちろん、それはじぶんからじぶんへの飛躍としても、起こる。
老人になるまでジャンプしています 竹井紫乙
干からびた君が好きだよ連れて行く 竹井紫乙
という句があって、こないだ電車のなかでへろへろで力つきそうなときにこの句についてかんがえていたんです(よくつっぷしたまま力つきそうなときや風邪をひいてはげしくうとうとしながら寝込んでいるときにこの句についてかんがえたりしているんです)。
で、ふっと、おもったのが、これは〈片想い〉の句なんだな、ってことです。
了承をとらないんですよ。連れて行くのに。
というより、了承がとれない。あいてに。
あいては、ひからびちゃっているから。
これ、なんで連れて行くかっていうと、「好きだ」からなんですが、あいてがじぶんを好きかどうかはわからない。わからないんだけれども、この句がおもしろいのは、あいてが「干からび」てしまっているところです。
干からびるってどういうことかっていうと、想いや意志の主体にはなれないよ、ってことなんです。ひからびちゃってるんだから。
だから、〈片想い〉なんです。
だけれどもこの語り手は「干からびた君も好きだよ」とはいっていない。「干からびた君が好きだよ」と、「干からび」てはじめてこの想いの句は成立するんです。
だからこれは究極の片想いの句だなとおもうんです。
愛情がこんなにあふれているのに、想いが通じなくなったところ、究極の片想いしか成立できない場所になってはじめてたちあがってくる句。
それがこの句だとおもうんですよ。
掘り出して下さい一応光るから 竹井紫乙
階段で待っているから落ちてきて 〃
くんじろうさんが発行している『第51回川柳北田辺』(2014年12月28日)からさいきんの紫乙さんの句を引いてみました。
ちょっとおもしろいのが、「連れて行く」という片想い性の〈移行〉が、「掘り出して下さい」「落ちてきて」と両想い的移行になっているところです。
光るのをみてくれるひとがいるから掘り出される意味がでてくる。待っていてくれるひとがいるから落ちる意味がでてくる。
移行することが、だれかへの接続(アクセス)になっていく。
ひから・びる、から、ひかる、へ。
ともかく、片想いにしろ両想いにしろ、紫乙さんの句の〈移行〉には、ひとひととが断絶しあい連絡しあうような意味がある。
もちろん、それはじぶんからじぶんへの飛躍としても、起こる。
老人になるまでジャンプしています 竹井紫乙
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