【感想】別のかたちだけど生きてゐますから 小津夜景
- 2015/01/30
- 05:51
別のかたちだけど生きてゐますから 小津夜景
【ねむれぬよるのために】
ねむれないときに、夜景さんの句を読んでいるときが、ある。
別のかたちだけど生きてゐますから
去年、この句を、はじめて眼にしたときに、あ、じぶんそうなんだな、っておもったのである。真夜中ではあったけれど、ひとりではあったけれど、おなかがへってはいたけれど。
別のかたちだけど生きてきたな、って。
別のかたちだったけれど。
でも、「から」って根拠づけたくなるような。自己言及として。
ときどき、おもうのだが、
生きてゆく秘訣は、
にもかかわらず・生きてゆくこと、ではないかと、おもう。
いろんなことが、あるだろう。
いろんな終わりも、あるだろう。
にもかかわらず・やってゆくこと。
「別のかたちだけど生きて」ゆくこと。
そして、にもかかわらず生きてきたことを、
この句が応答のスタイルをとっているように、
ほかならぬ〈あなた〉に伝えること。
別のかたちだけど生きてゐますから、と。
それが、生きることの秘密なのではないかと、おもうのだ。
おもうような生ではないかもしれないけれど、
だれかが絵に描いたとおりの生き方でもないかもしれないけれども、
でも、「生きてゐますから」とつたえられること。
そのために、それだけのために、
にもかかわらず、生きてゆくこと。生きてあること。
それ、だけじゃないかとも、おもうのだ。
たぶんもうすぐ朝というものがやってきて、
この部屋がひかりというものにみたされるとはおもうのだけれども、
でもそれさえも、別のかたちの朝として、
別のかたちの生として受けいれること。
別のかたちを、本懐とすること。
別の朝が、きても。
ねてさめてゆめといふ皺得てにけり 小津夜景
【ねむれぬよるのために】
ねむれないときに、夜景さんの句を読んでいるときが、ある。
別のかたちだけど生きてゐますから
去年、この句を、はじめて眼にしたときに、あ、じぶんそうなんだな、っておもったのである。真夜中ではあったけれど、ひとりではあったけれど、おなかがへってはいたけれど。
別のかたちだけど生きてきたな、って。
別のかたちだったけれど。
でも、「から」って根拠づけたくなるような。自己言及として。
ときどき、おもうのだが、
生きてゆく秘訣は、
にもかかわらず・生きてゆくこと、ではないかと、おもう。
いろんなことが、あるだろう。
いろんな終わりも、あるだろう。
にもかかわらず・やってゆくこと。
「別のかたちだけど生きて」ゆくこと。
そして、にもかかわらず生きてきたことを、
この句が応答のスタイルをとっているように、
ほかならぬ〈あなた〉に伝えること。
別のかたちだけど生きてゐますから、と。
それが、生きることの秘密なのではないかと、おもうのだ。
おもうような生ではないかもしれないけれど、
だれかが絵に描いたとおりの生き方でもないかもしれないけれども、
でも、「生きてゐますから」とつたえられること。
そのために、それだけのために、
にもかかわらず、生きてゆくこと。生きてあること。
それ、だけじゃないかとも、おもうのだ。
たぶんもうすぐ朝というものがやってきて、
この部屋がひかりというものにみたされるとはおもうのだけれども、
でもそれさえも、別のかたちの朝として、
別のかたちの生として受けいれること。
別のかたちを、本懐とすること。
別の朝が、きても。
ねてさめてゆめといふ皺得てにけり 小津夜景
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