【感想】妻よおまえはなぜこんなにかわいんだろうね 橋本夢道
- 2015/01/30
- 23:33
妻よおまえはなぜこんなにかわいんだろうね 橋本夢道
この場所では、いま、好むと好まざるとにかかわらず、人類はわれわれだけなのだ。 ベケット『ゴドーを待ちながら』
【妻を待ちながら】
ど、どうした、とおもうような句です。
ここには、〈わたし〉と〈妻〉の完璧な対幻想しかありません。
いや、そうじゃないですね。
ここには、〈妻〉さえも、いない。
ここにあるのは貫徹した〈わたし〉ひとりの肥大化した自己幻想しかありません。
「妻よ」という「よ」の感嘆・呼びかけ・強調の助詞ではじまったこの句は、「ね」という確認・同意・念押し・強調の助詞で終わります。
つまり、自己の思いをありったけ強調して、はじまっておわるのがこの句です。
さらにまんなかには、「なぜ/こんなに」とダブル強意の修飾さえ、あります。
つまり、ありったけの強調が〈俳句〉になってしまうという状況がここにはあらわれているようにも、おもいます。
〈妻〉がかわいいわけではなく、むしろ語り手は〈強調〉されたみずからの想いの言語化に、瞬間としてのおもむきをかんじてしまっているのではないか。
わたしは、そんなきがするのです。
だからこそ、反転したこんな強調も、あります。
無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 橋本夢道
この場所では、いま、好むと好まざるとにかかわらず、人類はわれわれだけなのだ。 ベケット『ゴドーを待ちながら』
【妻を待ちながら】
ど、どうした、とおもうような句です。
ここには、〈わたし〉と〈妻〉の完璧な対幻想しかありません。
いや、そうじゃないですね。
ここには、〈妻〉さえも、いない。
ここにあるのは貫徹した〈わたし〉ひとりの肥大化した自己幻想しかありません。
「妻よ」という「よ」の感嘆・呼びかけ・強調の助詞ではじまったこの句は、「ね」という確認・同意・念押し・強調の助詞で終わります。
つまり、自己の思いをありったけ強調して、はじまっておわるのがこの句です。
さらにまんなかには、「なぜ/こんなに」とダブル強意の修飾さえ、あります。
つまり、ありったけの強調が〈俳句〉になってしまうという状況がここにはあらわれているようにも、おもいます。
〈妻〉がかわいいわけではなく、むしろ語り手は〈強調〉されたみずからの想いの言語化に、瞬間としてのおもむきをかんじてしまっているのではないか。
わたしは、そんなきがするのです。
だからこそ、反転したこんな強調も、あります。
無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 橋本夢道
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