【短歌・連作】「8秒後、ワープします。」『かばん』2014年8月号
- 2015/02/01
- 05:48
パフェの底だらだら傾斜する苺 甘くぬかるむファミレスの春
ぬるぬるの対極をなすものとして「ハーゲンダッツ」と二割回答
やんぬるかなってぬるぬると関係がないの、と彼氏。あるね、とわたし。
だしぬけに桜井くんがぬるぬるで大山さんの呪いとわかる
戸田さんの机のなかのぬるぬるを知ってる俺は次のいけにえ
「「「岡井隆のぬるぬる」を解説する斉藤斎藤」を引く黒瀬珂瀾」
短歌とは定型であるそれなのにぬるぬるである可塑性である
ワープ時に隣に座る馬場さんがぬるぬるしてく超光速で
柳本々々「8秒後、ワープします。」『かばん』2014年7月号
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本号にて櫛木千尋さん、鈴木智子さんから連作・歌の歌評をいただきました。ありがとうございました!
ぶらり途中下車不可の旅 柳本々々
タイトルと一首目は聞き覚えのあるフレーズに言及し、二首目もまだ「放送」「お送り」は決まり文句である。ところが、三首目からは(私が知らないだけか)同じ読み方が出来ず、変な世界が混じってきて一旦不安になる。六首目からまた「分かる」歌になり、最後にタイトルに戻ってきて安心するという読者にやさしい(?)一連。 櫛木千尋「連作読み」
ぼくよりもとなりにすわる思い出がきみのひだりにとてもくわしい 柳本々々
「思い出」は、この「空間」全部を含むとすると、「思い出」の方が主観である自分より様々な角度からものを見ているのかもしれません。「思い出」以外がすべてひらがなであるのも不思議な雰囲気を醸し出していて、良いと思いました。 鈴木智子「うたうたうひとびと。─かばん6月号を読む─」
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「ひさかたの、ひさかたのっ」と飛び立てばあかるき羽根になないろの影 櫛木千尋
地下鉄の湿気最も懐かしいわたしの青は緑にも似て 鈴木智子
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本号の表紙絵は、東直子さんの「ササユリと白鳩」でした。
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