【短歌】面接で…(毎日新聞・毎日歌壇2015年2月10日・加藤治郎 選)
- 2015/02/10
- 07:42
面接でわたしのすべてをさらしてる平和な午後だわたしは殖える 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年2月10日・加藤治郎 選)
【青空と、ピーポー】
昔、面接をしていたときに、窓の外のひかりがめちゃくちゃうつくしかったことがあって、なんてうつくしい世界なんだろうって面接のさいちゅうにあらためておもっていことが、あるんです。
そのとき、おもっていたことは、じぶんのことではなくて、じぶんがそのときまでになにをしてきたか、これからなにをしていきたいか、ということじゃなくて、世界ってふいにうつくしくなるんだなということや、抜き打ちで陽はきらきらとさし込んでくるんだなとか、じぶんがどんなに緊張していても世界はじぶんとはまったく無関係なんだな、ってことだったんです。
で、そのときに、ピーポーピーポーがきこえてきて、世界って自由だなあ、ともおもったんです。
きらきらしたり、ピーポーしたり、じぶんの人生がなにかのかたちで決まるかもしれないときに、きらきらやピーポーがだんかいをふんで、やってくる。それは、うれしいことだし、これからも生きてゆこうとおもわせるような世界のふいうちだなあとおもったんです。
生きるってことは、わからなくなることで、わからなさにであうことで、わかってたことをねこぎにされることで、それでもそのねこぎがきらきらかがやいたりも、する。
もうひとつ、これは内部の面接で、わたしはすさまじい眼鏡をかけていったことがあるんです。
ものすごく緊張していて、だからすさまじい眼鏡をかけてやってみようとおもって。
そうしたら入るなり、だれなんだあいつは、とすこし面接官がざわついていて、で、わたしです、といってすさまじい眼鏡をはずしたんですが、そういうサスペンスタッチは面接では要らないよなあともおもうのです。
でもそのときも、ふっと窓の外をみたら、もうそれしかじぶんはやってこなかったから、というくらいの青空で、青空のプロだなあとおもったのです。せかいって。
青空のむこうで何か音がする ひとり静
ピーポーが聞こえる合唱の合間 丸山進
(毎日新聞・毎日歌壇2015年2月10日・加藤治郎 選)
【青空と、ピーポー】
昔、面接をしていたときに、窓の外のひかりがめちゃくちゃうつくしかったことがあって、なんてうつくしい世界なんだろうって面接のさいちゅうにあらためておもっていことが、あるんです。
そのとき、おもっていたことは、じぶんのことではなくて、じぶんがそのときまでになにをしてきたか、これからなにをしていきたいか、ということじゃなくて、世界ってふいにうつくしくなるんだなということや、抜き打ちで陽はきらきらとさし込んでくるんだなとか、じぶんがどんなに緊張していても世界はじぶんとはまったく無関係なんだな、ってことだったんです。
で、そのときに、ピーポーピーポーがきこえてきて、世界って自由だなあ、ともおもったんです。
きらきらしたり、ピーポーしたり、じぶんの人生がなにかのかたちで決まるかもしれないときに、きらきらやピーポーがだんかいをふんで、やってくる。それは、うれしいことだし、これからも生きてゆこうとおもわせるような世界のふいうちだなあとおもったんです。
生きるってことは、わからなくなることで、わからなさにであうことで、わかってたことをねこぎにされることで、それでもそのねこぎがきらきらかがやいたりも、する。
もうひとつ、これは内部の面接で、わたしはすさまじい眼鏡をかけていったことがあるんです。
ものすごく緊張していて、だからすさまじい眼鏡をかけてやってみようとおもって。
そうしたら入るなり、だれなんだあいつは、とすこし面接官がざわついていて、で、わたしです、といってすさまじい眼鏡をはずしたんですが、そういうサスペンスタッチは面接では要らないよなあともおもうのです。
でもそのときも、ふっと窓の外をみたら、もうそれしかじぶんはやってこなかったから、というくらいの青空で、青空のプロだなあとおもったのです。せかいって。
青空のむこうで何か音がする ひとり静
ピーポーが聞こえる合唱の合間 丸山進
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