【感想】右利きのギキキは春を待つ調べ 山田露結

右利きのギキキは春を待つ調べ　　山田露結

【4万8000トンの春】
露結さんがご自身のブログでこの句にキングジョーの写真を付けられていて、それがめちゃくちゃかっこよかったんですよ。
それで、まわりのひとにこのキングジョーすごくかっこよいんだけどこれはフィギュアなんだろうかとか写真をみせていろんな話をしていたんです。

私はキングジョーが好きで、キングジョーのフィギュアっていろいろ集めているんですが（他にメトロン星人を集めている）、キングジョーって、体が分離するんですよ。

これはけっこう大事なことで、からだが分離しても、しかし全体的にはキングジョーであるというのがキングジョーなんですね。

それってなにかっていうと、言語なんですよ。

ことばも、分離して、べつの接続をしなおして、べつの意味になったりするけれど、でも全体としては言語ですよね。

だから、露結さんの句でも、右利きがミ・ギキキと分離している。

あ、そうか、キングジョーって言語存在なんだな、ってこの句から教えてもらったんです。機械では、なかったんですよ。このギキキは機械音ではなく、言語の調べだったんです。
そしてそれが「春を待つ調べ」になる。

どうして、か？

たぶん、ひとは、冬から春に向かうのに、じぶんなりに接続の方法をさがさなくちゃならないからだとおもうんですよ。
だから、ミとギキキの接続方法をさがさなくちゃならない。
それがこれからわたしたちのもとにやってくる春なんですよ。
だからこれはそういうキングジョーとともに春へのアクセスの仕方をさがしましょうよ、っていう句なんじゃないかとおもうんです。

ロボットの腋より火花野分立つ　　磯貝碧蹄館