【感想】惑星別重力一覧眺めつつ「このごろあなたのゆめばかりみる」 穂村弘
- 2015/02/16
- 13:30
惑星別重力一覧眺めつつ「このごろあなたのゆめばかりみる」 穂村弘
緑 でもほら、そこに集中するあまり、みんな重力のことを見落としがちじゃない?
赤太 重力? 恋愛に重力が?
緑 相手の感情がどの惑星にあるのか……ううん、惑星にあるならまだいいけど、宇宙空間にあったらやっかいって話。
倉持裕『ワンマン・ショー』
【重力? 恋愛に重力が?】
恋愛って、たぶん、Gだとおもうんですよ。重力。
じぶんに負荷がかかるってことです。
なにをするにも。あるくにも、かんがえるにも、たべるにも、すきというにも、Gがかかってくる。重力が。
でも、重力のことは緑がいうように、みんなたぶん見落としがちなんですよ。
恋愛って舞い上がるとか浮かれるとかたぶん浮くほうのベクトルが強いかじゃないかなとおもうんですけど、でもかんがえてみると、この〈浮く〉っていうすきをめぐることばづかいも重力の反作用としてあるようにも、おもう。
で、穂村さんの短歌です。
「惑星別重力一覧」というのが大事で、重力っていうのは、めいめいの惑星がもつ、相対的な負荷なんです。関係的な。
だから、絶対的な重力ではない。それは一覧のように、関係的に変わっていくのです。
でもだからこそ、そのつど、その重力場のなかでの、そのやりかたでしかできない、恋愛がある。
そういうことなのではないかとおもうのです。
すきすぎて歩けなくなったり、すきすぎて浮きすぎていたり。瞬時に濃縮されるようなブラックホールだったり、どこまでも飛んでいくグラビティ・ゼロだったりする。
「このごろあなたのゆめばかりみる」っていうのは、その重力の一覧のなかから、「あなた」という重力をえらびとることです。もしくは、えらびとらされるということです。ゆめ、ですから。ある意味、無意識では率先して主体的であり、でも、ゆめ、ですから、ある意味、意識では受動的なわけです。
わたしとあなたがいまこの、この場所にしか立てないこの場所で、わたしとあなたとして、この場所に立って、重力をくらいながら、恋愛をしているんだということが、大事です。
緑 ねえ、この時間、そこに立ってる人間はあなただけなのよ? あなたがそこを動かない限り、誰一人そこには立てないの。そしてそこから私を見られるのはあなただけ! 仮にあっちから私を見てる人がいても、あの人は、あなたが見ている私は絶対見れないの! さあ、それが分かったらとっとと決め付けて! 温度なんかにかまけてないで、私を……その圧倒的に特権的な立場で、私を決め付けていきなさい!
倉持裕『ワンマン・ショー』
緑 でもほら、そこに集中するあまり、みんな重力のことを見落としがちじゃない?
赤太 重力? 恋愛に重力が?
緑 相手の感情がどの惑星にあるのか……ううん、惑星にあるならまだいいけど、宇宙空間にあったらやっかいって話。
倉持裕『ワンマン・ショー』
【重力? 恋愛に重力が?】
恋愛って、たぶん、Gだとおもうんですよ。重力。
じぶんに負荷がかかるってことです。
なにをするにも。あるくにも、かんがえるにも、たべるにも、すきというにも、Gがかかってくる。重力が。
でも、重力のことは緑がいうように、みんなたぶん見落としがちなんですよ。
恋愛って舞い上がるとか浮かれるとかたぶん浮くほうのベクトルが強いかじゃないかなとおもうんですけど、でもかんがえてみると、この〈浮く〉っていうすきをめぐることばづかいも重力の反作用としてあるようにも、おもう。
で、穂村さんの短歌です。
「惑星別重力一覧」というのが大事で、重力っていうのは、めいめいの惑星がもつ、相対的な負荷なんです。関係的な。
だから、絶対的な重力ではない。それは一覧のように、関係的に変わっていくのです。
でもだからこそ、そのつど、その重力場のなかでの、そのやりかたでしかできない、恋愛がある。
そういうことなのではないかとおもうのです。
すきすぎて歩けなくなったり、すきすぎて浮きすぎていたり。瞬時に濃縮されるようなブラックホールだったり、どこまでも飛んでいくグラビティ・ゼロだったりする。
「このごろあなたのゆめばかりみる」っていうのは、その重力の一覧のなかから、「あなた」という重力をえらびとることです。もしくは、えらびとらされるということです。ゆめ、ですから。ある意味、無意識では率先して主体的であり、でも、ゆめ、ですから、ある意味、意識では受動的なわけです。
わたしとあなたがいまこの、この場所にしか立てないこの場所で、わたしとあなたとして、この場所に立って、重力をくらいながら、恋愛をしているんだということが、大事です。
緑 ねえ、この時間、そこに立ってる人間はあなただけなのよ? あなたがそこを動かない限り、誰一人そこには立てないの。そしてそこから私を見られるのはあなただけ! 仮にあっちから私を見てる人がいても、あの人は、あなたが見ている私は絶対見れないの! さあ、それが分かったらとっとと決め付けて! 温度なんかにかまけてないで、私を……その圧倒的に特権的な立場で、私を決め付けていきなさい!
倉持裕『ワンマン・ショー』
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