【短歌】加藤治郎訳スタンドバイミー、或いはあんまんを…(毎日新聞・毎日歌壇2015年3月9日・加藤治郎 選)
- 2015/03/09
- 06:25
【加藤治郎訳】Stand by Me - B. E. King 柳本々々
When the night has come
かげりゆく冬の一日(ひとひ)は文鳥の頭をくちにふくんでみせる(加藤治郎)
And the land is dark
書きなぐっても書きなぐっても定型詩 ゆうべ銀河に象あゆむゆめ(加藤治郎)
And the moon is
the only light we see
いもうとよ屋上に寝て月蝕を見たこといつかサンダルを脱いで(加藤治郎)
No, I won't be afraid,
セロファンに包んだひまわり提げながら家へとつづく階段を捜す(加藤治郎)
Oh, I won't be afraid
うつむいて言葉をさがす 音すれば視線をさらうサイダーの泡(加藤治郎)
Just as long as you stand,
ゆるゆるとガーゼに苺包みつつある日つつましく膝を立ており(加藤治郎)
Stand by me
てのひらにガラス細工の動物の溶けはじめるよ幸せだったよ(加藤治郎)
So darling, darling,
しゃがむときひざっこぞうのまぶしきを少女はふとき乳首をつかむ(加藤治郎)
Stand by me, oh stand by me
梨むきしナイフをすすぐ音すればもっとも遠き異性と思う(加藤治郎)
Oh stand now, stand by me,
耳たぶにひかりはふれてぼくたちの体が音をたてるさみしさ(加藤治郎)
Stand by me
バスルームのあかりは夕陽のようだから肩にのっけているきみの足(加藤治郎)
If the sky that we look upon
should tumble and fall
雲のとぶ影うつるフロア 月光に燃えあがりゆくロッキング・チェア(加藤治郎)
Or the mountain should
crumble to the sea
夜の水に草の実ほどのコンタクト・レンズのしずむ はじめての夏(加藤治郎)
I won't cry, I won't cry,
たれの子も産める体のかなしさに螢光に照る葡萄をほぐす(加藤治郎)
No, I won't shed a tear
憎しみに無力なことはしっているそれでも朝のトースト香れ(加藤治郎)
Just as long as you stand,
産み落とす形に膝を立てている サンオイル浮く海のぬるさに(加藤治郎)
stand by me
スニーカーの先をみていたきみがもうねむっているのにきづくやさしさ(加藤治郎)
And darling, darling,
夏の汗陽よりゆっくりおちるころ勝手にきみは動かしてるの(加藤治郎)
Stand by me, oh stand by me
だしぬけにぼくが抱いても雨が降りはじめたときの顔をしている(加藤治郎)
Oh stand now, stand by me,
焼きたてのアップルみたいなくちびるをちょっと待たせてやぶるパッケージ(加藤治郎)
Stand by me
くちびるに形ありやと思うまで抱きあう夏のふたりなるかも(加藤治郎)
Darling, darling
巨峰のつぶを口から口へこんなことしてみたくなるぼくたちふたり(加藤治郎)
Stand by me, oh stand by me
エレベーター降りたき階で降りられぬもどかしさもちてきみを抱(いだ)くも(加藤治郎)
Oh stand now, stand by me
きっとクッキーができたんだろう階下から手を打ち鳴らすちっちゃな音が(加藤治郎)
Stand by me
逃げまわるぼくたちに合うヘルメット サラダボウルのようなやつだよ(加藤治郎)
Whenever you're in trouble
湯のなかに縮むてのひらながめてはビコーズ、ビコーズ、くりかえし言う(加藤治郎)
Won't you stand by me, oh stand by me
さけびたいなぜってきみのくちびるが瞳のうえをるるりとかける(加藤治郎)
Oh won't you stand now, oh stand
ぼくのサングラスの上で樹や雲が動いているって うん、いい夏だ(加藤治郎)
Stand by me
あんまんをわけあっている あんまんのキリトリ線がこころにうかぶ(柳本々々)
(毎日新聞・毎日歌壇2015年3月9日・加藤治郎 選)
When the night has come
かげりゆく冬の一日(ひとひ)は文鳥の頭をくちにふくんでみせる(加藤治郎)
And the land is dark
書きなぐっても書きなぐっても定型詩 ゆうべ銀河に象あゆむゆめ(加藤治郎)
And the moon is
the only light we see
いもうとよ屋上に寝て月蝕を見たこといつかサンダルを脱いで(加藤治郎)
No, I won't be afraid,
セロファンに包んだひまわり提げながら家へとつづく階段を捜す(加藤治郎)
Oh, I won't be afraid
うつむいて言葉をさがす 音すれば視線をさらうサイダーの泡(加藤治郎)
Just as long as you stand,
ゆるゆるとガーゼに苺包みつつある日つつましく膝を立ており(加藤治郎)
Stand by me
てのひらにガラス細工の動物の溶けはじめるよ幸せだったよ(加藤治郎)
So darling, darling,
しゃがむときひざっこぞうのまぶしきを少女はふとき乳首をつかむ(加藤治郎)
Stand by me, oh stand by me
梨むきしナイフをすすぐ音すればもっとも遠き異性と思う(加藤治郎)
Oh stand now, stand by me,
耳たぶにひかりはふれてぼくたちの体が音をたてるさみしさ(加藤治郎)
Stand by me
バスルームのあかりは夕陽のようだから肩にのっけているきみの足(加藤治郎)
If the sky that we look upon
should tumble and fall
雲のとぶ影うつるフロア 月光に燃えあがりゆくロッキング・チェア(加藤治郎)
Or the mountain should
crumble to the sea
夜の水に草の実ほどのコンタクト・レンズのしずむ はじめての夏(加藤治郎)
I won't cry, I won't cry,
たれの子も産める体のかなしさに螢光に照る葡萄をほぐす(加藤治郎)
No, I won't shed a tear
憎しみに無力なことはしっているそれでも朝のトースト香れ(加藤治郎)
Just as long as you stand,
産み落とす形に膝を立てている サンオイル浮く海のぬるさに(加藤治郎)
stand by me
スニーカーの先をみていたきみがもうねむっているのにきづくやさしさ(加藤治郎)
And darling, darling,
夏の汗陽よりゆっくりおちるころ勝手にきみは動かしてるの(加藤治郎)
Stand by me, oh stand by me
だしぬけにぼくが抱いても雨が降りはじめたときの顔をしている(加藤治郎)
Oh stand now, stand by me,
焼きたてのアップルみたいなくちびるをちょっと待たせてやぶるパッケージ(加藤治郎)
Stand by me
くちびるに形ありやと思うまで抱きあう夏のふたりなるかも(加藤治郎)
Darling, darling
巨峰のつぶを口から口へこんなことしてみたくなるぼくたちふたり(加藤治郎)
Stand by me, oh stand by me
エレベーター降りたき階で降りられぬもどかしさもちてきみを抱(いだ)くも(加藤治郎)
Oh stand now, stand by me
きっとクッキーができたんだろう階下から手を打ち鳴らすちっちゃな音が(加藤治郎)
Stand by me
逃げまわるぼくたちに合うヘルメット サラダボウルのようなやつだよ(加藤治郎)
Whenever you're in trouble
湯のなかに縮むてのひらながめてはビコーズ、ビコーズ、くりかえし言う(加藤治郎)
Won't you stand by me, oh stand by me
さけびたいなぜってきみのくちびるが瞳のうえをるるりとかける(加藤治郎)
Oh won't you stand now, oh stand
ぼくのサングラスの上で樹や雲が動いているって うん、いい夏だ(加藤治郎)
Stand by me
あんまんをわけあっている あんまんのキリトリ線がこころにうかぶ(柳本々々)
(毎日新聞・毎日歌壇2015年3月9日・加藤治郎 選)
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